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前立腺全摘と経過観察で全死亡率に差なし

早期前立腺がん700例を20年間追跡

 2017年07月26日 06:30

イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

 米・University of MinnesotaのTimothy J. Wilt氏らはProstate Cancer Intervention versus Observation Trial(PIVOT)において早期前立腺がんに対する根治的前立腺全摘術と経過観察を20年間追跡した結果、「全対象では手術による全死亡率および前立腺がんによる死亡率の有意な低下は認められなかった。しかし、再発リスクが中間の群では経過観察よりも手術によって全死亡率が低下する可能性が示された」とN Engl J Med2017; 377: 132-142)で報告した。

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主要解析2項目の追跡期間を20年まで延長

 対象は1994年11月〜2002年1月に米国内の退役軍人局および国立がん研究所で登録された患者のうち12カ月以内に診断確定した75歳以下の限局性前立腺がん患者(stage T1~T2NxM0)731例(平均年齢67歳)。前立腺特異抗原(PSA)50ng/mL未満で転移が骨スキャンで認められず、余命が10年以上であることなどを組み入れ条件とした。

 対象をランダムに手術群364例、経過観察群367例に割り付け、6カ月間隔で8年以上(または患者が死亡するまで)追跡した(当初の追跡終了は2010年1月)。主要評価項目は全死亡率、副次評価項目は前立腺がん(およびその治療)による死亡率、病勢進行および受けた治療、2年後の中等度以上の尿失禁および勃起障害などとした。

 解析に際してはITT解析を適用し、死亡率はKaplan-Meier法により評価した。全体の解析に加え、年齢、人種、併存症の有無、自己報告に基づくPerformance Status(PS)、PSA値、Gleasonスコア、D'Amico分類による再発リスクスコアの7項目での層別化解析も併せて行った。

 2010年時点で、手術群では364例中287例(78.8%)が根治的前立腺全摘除術を、311例(85.4%)が根治治療(手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法または免疫療法)を受けており、観察群ではそれぞれ37例(10.1%)、75例(20.4%)であった。

 Wilt氏らの前回の報告(N Engl J Med 2012; 367: 203-213)では、手術群と観察群で、死亡率に有意差は見られなかったが、非致死性健康アウトカムと長期的死亡率に関しては不確かなままであった。そこで、全死亡率と前立腺がんによる死亡率の2項目についてのみ追跡期間を2014年8月まで延長し、再解析を行った。病勢進行および受けた治療、患者報告によるアウトカムについては当初の計画通り2010年までのデータを解析した。

PSA値と再発リスクが結果を左右

 最長19.5年の追跡期間中(中央値12.7年)に、死亡は手術群364例中223例(61.3%)、観察群367例中245例(66.8%)に認められ、絶対リスク差は5.5%ポイント、ハザード比(HR)は0.84(95%CI 0.70〜1.01、P = 0.06)であった。前回報告よりリスク差は拡大していたものの、有意差は認められなかった。生存期間の中央値は手術群13.0年(95%CI 12.5〜13.5)、観察群12.4年(同11.4〜12.8)であった。

 前立腺がんまたはその治療による死亡は、手術群27例(7.4%)、観察群42例(11.4%)、絶対リスク差は4.0%ポイント(HR 0.63、95%CI 0.39〜1.02、P = 0.06)であった。

 層別化解析の結果、手術が全死亡率に与える影響はベースライン時のPSA値(相互作用のP=0.06)またはD'Amico分類による再発リスク(同P=0.08)により異なる可能性が見られた。ベースライン時のPSA値10ng/mL以下、低リスクまたは高リスク群では手術は観察よりも全死亡率の低下に関連する可能性は見られなかったが、ベースライン時のPSA値10ng/mL超または中間リスク群(PSA 10.1〜20.0ng/mL、Gleasonスコア7、またはステージT2b)では手術が全死亡率の低下に関連する可能性が示された(絶対差14.5%ポイント,95%CI 2.8~25.6)。

病勢進行に対する治療頻度が低い

 病勢進行に対する治療頻度は手術群では観察群より低く(絶対差26.2%ポイント、95%CI 19.0〜32.9)、治療は主として無症候性、限局性、あるいは生化学的(PSAに基づく)進行に対するものであった。

 尿失禁と勃起障害は10年後の時点でも手術群で多く、前立腺がんあるいはその治療による日常生活動作(ADL)の制限は2年後の調査では手術群で多く見られた。

 以上から、Wilt氏は「限局性前立腺がん患者に対する約20年間に及ぶ追跡調査の結果、手術は全体として全死亡率および前立腺がんによる死亡率の有意な低下とは関連していなかった。手術は有害事象発現率の高さと関連していたが、観察のみを選択した場合よりも病勢進行に対する治療の頻度が低下していた」とまとめた。

SPCG-4の結果とも矛盾しない

 PIVOT試験と並んで注目されるランダム化比較試験として、英国のProtecT〔放射線群、根治的摘除群、積極監視群(ただしPSAによるactive monitoringであり、現在、米国などで主流となっているPSA+再生検によるactive surveillanceではない)の3群間比較〕、スカンジナビア前立腺がんグループ研究4〔SPCG-4、根治的摘除群と経過観察群とを比較〕がある。

 Wilt氏は「PIVOT試験の結果は、SPCG-4試験やProtecT試験の結果と基本的に一致すると考えている。PIVOT、SPCG-4、ProtecTに見られる死亡率の差は、患者の年齢や併存症だけでなく、検査方法や治療選択肢の違いが疾患に及ぼす影響をより強く反映している可能性がある」と指摘。「PSA低値で低リスク群に分類される限局性前立腺がんでは経過観察を選択しても前立腺がんによる長期的死亡率は低く、過剰治療を減らすことを検討すべきではないか」と提案するとともに、「一部の患者では手術の優位性が示されていることから、さらにデータを蓄積する必要がある」としている。

古川忠広

  

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