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製薬業界の自主規制、「行き過ぎてないか」

 2017年07月27日 06:50

 近年、医薬品情報の提供に関する公的な規制が強化される中で、製薬業界が定める自主規制も強化されている。7月11日に東京都内で開かれた第16回肺がん医療向上委員会セミナー(主催=日本肺癌学会)では、中央大学理工学部生物統計学教授で東京大学名誉教授の大橋靖雄氏が「抗がん薬広告規制の問題」を取り上げ、業界による自主規制が「行き過ぎではないか」と指摘。薬機法(旧薬事法)の広告規制を所管する厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の担当広告専門官の最新の見解などを紹介した。

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適正な情報提供と誇大な広告との区別を明確に

 現在、わが国では薬機法により、医薬品や医療機器などの「虚偽または誇大な恐れがある広告」は禁止されている。また、医師などが保証したとの誤解を与える恐れがある記事の広告・記述・流布も禁止されている。

 こうした規制による問題として、大橋氏は「これらの条文を根拠として行われている業界の自主規制は行き過ぎているのではないか」と指摘した。

 例えば、競合する2つの薬剤あるいは治療法の有効性を比較検証したhead to headのランダム化比較試験の結果を報告した元の論文から、対照薬・対照治療のKaplan-Meier曲線が「誹謗・中傷に当たる」として除去される、また薬剤名ではなく薬剤クラス名に置き換えて表現される、といったことが実際行われているという。

 同氏は「最近では、医療者に対する情報提供においても"行き過ぎ"が目立つ。日本製薬工業協会(製薬協)のガイドラインは適正と思われるが、業界の保守的過ぎる解釈により国際的・常識的には過度の規制が行われている」と指摘した。

 また、がん領域では患者による情報収集が活発だが、一般を対象とした市民公開講座などの企業主催(あるいは協賛)の講演では、薬剤名が明らかにされないこともある。製薬企業の公式サイトに掲載されている薬剤に関する情報も医療従事者のみが閲覧できるものが多い。こうしたことから、がん患者は、自分の治療に使われているあるいは使われる可能性のある薬剤について、適正な最新情報を入手することが難しいという状況がある。

 現在、がん治療においては患者とのパートナーシップが国際的に重要視されているが、同氏は「このような情報アクセス制限は国際的に恥ずべき現象である」との考えを示した。

 さらに先月(2017年6月)7日に、医療機関のウェブサイトなどにおける虚偽・誇大な広告の規制見直し案を盛り込んだ医療法の改正案が参議院本会議で可決成立したが、同氏は「適正な情報提供と過大な広告との区別を明確にすべきでないか」と呼びかけた。

"医師の承認の下での情報提供"の仕組みの構築を

 なお、薬機法の広告規制の所管省庁は厚生労働省の医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課である。これまでに大橋氏は、同課の担当広告専門官との面談を重ねているが、厚労省側も患者、特にがん患者に対する情報提供・パートナーシップの重要性は十分に理解しており、製薬業界の反応が過剰であることも認めている。しかし美容整形や健康食品など、他の領域で過度の広告が目に余る状態であるため、同省は消費者庁とともに厳しい規制に乗り出した状況にある。そのため、同課の担当広告専門官の見解(7月4日時点)では、患者に対する医療情報の提供については「学会に期待したい」とする一方で、「製薬企業が情報提供することについては、先入観を持たざるをえない」としている。同課は製薬企業が(シングルスポンサードで)情報提供を行うことについて、「"広告"と"情報提供"の厳密な線引きは難しい」と考えている節があるという。

 また同氏は、担当者から「一般向け講演会や学会での患者向け情報提供、ランチョンセミナーなども、受委託契約ではなく寄付により第三者による適正な評価とともに実施できないものか」との見解が示されたことを紹介。最後に同氏は、行政官も納得するような"あるべき情報提供"として、公的機関による情報提供などの他、"主治医の承認の下での情報提供"の仕組みがつくれないだろうか、と呼びかけた。

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法、旧薬事法)

髙田 あや

修正履歴(2017年7月28日):本文中の誤字を修正しました

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