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宇宙飛行士が語る医学研究の成果

大西卓哉宇宙飛行士のミッション報告会

 2017年07月27日 07:05

 昨年(2016年)7~10月に国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在した宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士の大西卓哉氏は、自身が携わった健康長寿社会につながる宇宙実験などについて、東京都で開かれた長期滞在ミッション報告会でその概要を報告した。同氏は今回のISS滞在中に小動物飼育ミッションや高品質蛋白質結晶生成実験などに取り組み、加齢対策や創薬につながる研究を進展させたという。

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宇宙空間でマウスを長期飼育し全数生存帰還に世界で初成功

 大西氏はISS長期滞在中に従事した宇宙医学研究として、小動物飼育ミッションを紹介した。

 このミッションでは、12匹のマウスを1匹ずつ個別の飼育装置(写真1)に入れ、6匹ずつ無重力および人工重力(地球と同様の1G)下で同時に飼育した。

 飼育期間は35日間で、その間に給餌、水やり、同装置のメンテナンス、状況観察などを実施し、世界で初めて全てのマウスを生存した状態で地上へ帰還させることができたという。

写真1. 大西宇宙飛行士が宇宙でマウスの飼育に用いた小動物飼育装置

(JAXA提供)

 生物は無重力環境下において、高齢者や寝たきり状態同様、骨量や筋肉量が減少することが知られているため、このミッションで得られた知見やデータは、加齢性疾患の早期診断因子の特定などに寄与すると考えられている。

多剤耐性菌や歯周病の病原菌への抗菌薬開発も

 また、大西氏はISSの微小重力環境を生かした蛋白質結晶生成実験も実施し、地上と比較してより高品質な蛋白質の結晶サンプルを地上に持ち帰ることができたと報告した。

  宇宙空間では、地上と異なり密度や温度の違いにより生じる対流が起こらないため、規則正しく分子が整列した高品質の結晶が生成できるという。

 高品質な結晶は構造解析が容易であり、より有効性が高く、副作用の少ない薬剤の開発に貢献する。具体的には、宇宙で得られた蛋白質の結晶(写真2)を用いて、多剤耐性菌や歯周病の病原菌に対する抗菌薬の研究、開発が進められており、同氏がもたらした結晶サンプルも創薬の研究に活用される見込みである。

写真2. 宇宙で得られた多剤耐性菌関連酵素の生育に重要なペプチド分解酵素の結晶

(岩手医科大学/JAXA提供)

帰還後に日本で初めてリハビリを実施

 さらに大西氏は、地球帰還後のリハビリテーション(以下、リハビリ)を日本で初めて実施した点にも言及した。

 宇宙からの帰還後に見られる筋萎縮や平衡機能障害などを改善するためのリハビリは、これまで米国テキサス州ヒューストンにある米航空宇宙局(NASA)の施設で行われていた。

 しかしJAXAは今回、これまで得てきた運動処方や運動指導に関する知見を基に、バランスクッションやメディシンボールといったリハビリ器具を用いたトレーニングを国内で実施。

 宇宙飛行士の選抜、訓練、認定、軌道上での健康管理、リハビリを日本が一貫して自立的に遂行できるようになったとした。

 今後、2017年冬には金井宣茂宇宙飛行士がISSに長期滞在する予定で、医師の資格を有する同氏には、大西氏が日本実験棟「きぼう」で取り組んだ宇宙医学実験をさらに進展させることが期待される。

陶山 慎晃

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