ケタミンに高齢者の術後せん妄予防効果なし
【海外短報】
2017年08月09日 10:44
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高齢者の術後せん妄予防を目的としたケタミンの術中投与は効果がなく、むしろ有害な可能性があることが分かった。国際共同研究グループがLancet(2017; 390: 267-275)に発表した。
麻酔作用を生じない濃度の術中ケタミン投与は術後の鎮痛目的でしばしば行われており、一部の研究でせん妄予防効果が示唆されている。同グループは、全身麻酔下で心臓または非心臓大手術を受ける60歳以上の患者を対象に、ケタミンの術後せん妄予防効果を検討する国際多施設共同ランダム化比較試験を実施した。
672例を登録し、術前の麻酔導入後にプラセボ(生理食塩水)または低用量ケタミン(0.5mg/kg)、高用量ケタミン(1.0mg/kg)を投与した。術後3日間、Confusion Assessment Methodを用いてせん妄の有無を1日2回評価した。
プラセボ群に222例、低用量ケタミン群に227例、高用量ケタミン群に223例を割り付けた。解析の結果、せん妄の発症率は低用量および高用量ケタミン統合群が19.45%、プラセボ群が19.82%で有意差はなかった(絶対差0.36%、P=0.92)。
プラセボ群と比べ、高用量ケタミン群で術後の幻覚(P=0.01)と悪夢(P=0.03)の出現が有意に多かった。有害事象(心血管、腎、感染症、消化管、出血)の発現率は3群間で有意差はなかった(プラセボ群36.9%、低用量ケタミン群39.6%、高用量ケタミン群40.8%、P=0.69)。
(編集部)