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85歳以上・進行期の高齢者がん...「肺」58%、「胃」56%で積極治療せず〔読売新聞〕

 2017年08月09日 14:29

 がん患者における高齢者の割合が増える中、最も病状が進んだ進行がんになった85歳以上の高齢者に対して、積極的な治療をせず経過観察などにとどめる割合が、がん種により最大で6割を超えることが国立がん研究センターが9日に発表したデータでわかった。完治が難しく5年生存率も低いことから、生活の質を重視した選択をしているものとみられる。国は最良の選択ができるよう高齢患者向けの治療に関する研究を進める。

全患者5年生存率65%

がんは進行度に応じて早期の1期から、他の臓器に転移するなど、最も進行した4期に分類される。同センターによると、1年間にがんになる人全体に占める75歳以上の割合は2012年で42%を占め、02年(35%)から7ポイント増えていた。高齢化の進展で今後も割合は増えるとみられる。

 同センターは、15年に全国のがん診療連携拠点病院など427施設でがんと診断された患者約70万人の集計データを公表。75歳以上の高齢者の病期別の治療法を初めて明らかにした。

 それによると、病期が最も進んだ4期の非小細胞肺がんと診断された85歳以上の患者は「治療なし」が58・0%に達した。同じ病期の胃がんは56・0%。大腸がんは36・1%と高く、12年から徐々に増える傾向になった。特に治療が難しい 膵臓すいぞう がんは60・0%。高齢での発症が少ない子宮体がんは66・7%だった。

 高齢になると心臓病や糖尿病などにかかっていることも多く、手術や抗がん剤治療が難しい患者も多いとみられる一方、認知機能の衰えから治療の差し控えなどがあるとの見方もある。

 高齢者のがん治療に詳しい杏林大の長島文夫教授(腫瘍内科学)は「高齢で意思疎通に困るケースに対し、医療者側で適切な治療法を考えるための基準作りを急ぐ必要がある」と話している。

 抗がん剤治療について、厚生労働省は高齢患者向けの治療指針を作る方針だ。

 また同センターは同日、がんと診断されてから5年後の生存率の最新データも合わせて発表した。2008年にがん診療連携拠点病院でがんと診断された約21万4500人の治療成績を集計した。全がんの生存率は65・2%。部位別の生存率は、前立腺97・7%、乳房92・7%、子宮体82・8%が高かった。前立腺は1~3期の生存率が100%だった。一方、早期発見が難しい膵臓は9・9%にとどまった。

 病期が進むと生存率が一気に低下する傾向がみられた。胃がんは早期の1期が95・0%だった一方、4期は9・0%と低かった。

【5年生存率】  がんの完治の目安となる、診断から5年後に生きている患者の割合。がんの種類や進行度などを患者ごとに病院が登録し、状態を継続して把握することが算出に必要になる。今回は、がん以外の病気や事故などによる死亡の影響を除いた相対生存率を使っている。

高齢患者の治療指針作り、早急に

 進行がんの85歳以上の高齢者には、がんの積極的な治療が控えられている実態が初めて判明した。がんは現在利用できる最良の治療である「標準治療」が基本だが、抗がん剤などの積極的な治療は体への負担が大きい。様々な合併症を抱えて体調が安定しない多くの高齢者は、体力のある人を想定した標準治療を受けることは難しい。

 このため高齢者のがん治療に統一的な基準はなく、現状では医師らが治療と副作用のバランスを考慮しながら、個別に治療法を判断している。高齢患者の治療への希望をくみ取りつつ、平均寿命を超えても体への負担が大きい治療が必要かどうかも含め検討し、早急に指針を作るべきだ。

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(2017年8月9日 読売新聞・医療部 石塚人生)

ヨミドクター

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