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屋内完全禁煙の実施で「ストップCVD」

日本循環器学会プレスセミナー

 2017年09月06日 16:23

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、医療関係者からは、禁煙と受動喫煙防止を法律や条令で定めるよう、国や自治体に求める声が上がっている。中でも日本循環器学会は、心血管疾患(CVD)の初発・再発リスク防止の観点から、2013年に「新禁煙宣言2013」を発表した他、同学会内に禁煙推進委員会を設置し国民への啓発活動を行うなど、禁煙化の取り組みを積極的に展開している(関連記事「日本循環器学会が"新"禁煙宣言,3つの基本方針と10の目標とは」)。8月31日に東京都内で日本循環器学会第33回プレスセミナーが開催され、同委員会委員を務める大阪大学大学院循環器内科学教授の瀧原圭子氏と、岐阜県総合医療センター循環器内科主任医長の飯田真美氏が講演。「ストップCVD」をテーマに、喫煙が循環器に及ぼす危険性や、屋内完全禁煙の実現に向けた同会の取り組みについて解説した。

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喫煙により老化遺伝子Klotho関連分子が増加

 「喫煙と老化」のテーマで講演した瀧原氏は、喫煙が老化遺伝子Klothoの増加につながるメカニズムについて解説。非喫煙者(40例)と喫煙者(40例)において、老化遺伝子として知られる2つのKlotho関連分子〔線維芽細胞増殖因子(FGF)21とα-Klotho〕の血中濃度を比較すると、FGF21は非喫煙者の198±126pg/mLに対し、喫煙者では283±194pg/mL(P~0.032)、α-Klothoはそれぞれ462±172pg/mL、537±163pg/mL(P~0.048)と、いずれも喫煙者で高値であることが確認されたという。

 これまでの研究から、FGF21は脂肪肝、脂質異常症、高血圧などのメタボリックシンドロームで上昇することが明らかにされている(Arterioscler Thromb Vasc Biol 2013; 33: 2454-2459)。そのことを踏まえ、同氏は「FGF21の上昇は、喫煙者での代謝異常促進を予見している可能性がある。喫煙者は一種の境界域メタボリックシンドロームかもしれない」と指摘した。

 もう1つのKlotho関連分子であるα-Klothoは抗炎症作用を持つことから、炎症関連サイトカインインターロイキン(IL)-6と相関し上昇することが明らかとなっている。しかし同氏らの研究により、喫煙者においては両者の相関性が崩れ、炎症が生じやすい状態となることが明らかになった。以上の結果から、同氏は「喫煙はα-KlothoとFGF21を介して炎症、代謝に影響を与え、老化促進に関わっている可能性が示唆される」と指摘。「喫煙は老化を進める環境因子の1つだと考えられる」と結論付けた。

2020年の東京五輪に向け、屋内完全禁煙の実施を

 続いて登壇した飯田氏は、「循環器疾患予防における禁煙の位置づけ−東京オリンピック2020をどう迎える?」と題して講演。法規制による全面禁煙化の実施が、循環器系疾患の減少にいかにつながるかについて具体的な事例を用いて説明した。

 多目的コホート研究(JPHC Study)によると、喫煙をした場合、非喫煙者に比べて冠動脈疾患リスクが男性で2.85倍、女性で3.07倍に、心筋梗塞リスクは男性で3.64倍、女性で2.90倍に跳ね上がることが分かっているという(Eur J Cardiovasc Prev Rehabli 2006; 13: 207-213)。さらに同氏は「能動喫煙だけでなく受動喫煙が循環器に及ぼす危険性も深刻で、非喫煙者がわずか30分の受動喫煙を受けるだけで、冠血流予備能の低下が確認される」との報告を提示した(JAMA 2001; 286: 436-441)。

 こうした喫煙が循環器に及ぼすリスクを踏まえ、既に国内外の幾つかの自治体では禁煙化を定めた法規制が施行され、具体的な成果を挙げているという。例えば、2002年6月5日〜12月3日の約半年間にわたり公共の場と職場での禁煙が条例で定められた米・モンタナ州ヘレナでは、急性心筋梗塞の割合が4割も減少(BMJ 2004; 328: 977-980)。他にも、2013年4月に受動喫煙防止条例が施行された神戸市では、急性心筋梗塞の発症数が2年間で100件近く減少している(Circ J 2016; 80: 2528-2532)。

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日本循環器学会禁煙推進委員会の啓発キャラクター「すわん君」と瀧原氏(左)、飯田氏(右)

 最後に同氏は、過去・将来のオリンピック・パラリンピック開催都市では、全面禁煙を定めた罰則付きの法規制が施行されているにもかかわらず、東京のみ飲食店などを含めた全面禁煙化が行われていない現状を紹介()。「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けて、国際基準にのっとった屋内完全禁煙を整えることが、世界的に求められている。東京だけができないとなると、国際的な信用を損ないかねない」と禁煙化の推進を訴え、講演を締めくくった。

表. オリンピック開催都市における罰則付き禁煙条例の施行状況 1709004_fig1.jpg

(平山茂樹)

  

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