急性心筋梗塞後にβ遮断薬追加は必要か
【海外短報】
2017年10月24日 06:00
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急性心筋梗塞後の再発予防にレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬とスタチンの2剤を服用している患者にβ遮断薬を追加する意義は小さいことが、米国のメディケア受給者を対象にした研究で示された。米国などのグループがJ Am Coll Cardiol(2017; 70: 1543-1554)に発表した。
急性心筋梗塞後の再発予防にはRA系抑制薬、スタチン、β遮断薬の服用が推奨されている。同グループは、2008~10年に急性心筋梗塞を発症し、入院後180日以上生存した65歳以上のメディケア受給者9万869例を対象に、これらの薬剤の服薬遵守状況と死亡との関係を検討した。
服薬遵守状況は退院後180日間における服薬日数の割合(PDC)で評価し、PDC 80%以上を服薬遵守と定義した。Cox比例ハザードモデルを用いて、RA系抑制薬+スタチン+β遮断薬の3剤遵守群に対する2剤遵守群、1剤遵守群、非遵守群(3剤全てのPDCが80%未満)の退院後18カ月までの多変量補正死亡ハザード比(HR)を算出した。
3剤の服用を遵守していた患者は全体の49%であった。解析の結果、3剤遵守群と比較したRA系抑制薬+スタチン遵守群の死亡HRは0.98(95%CI 0.91~1.07)で有意差はなかった。一方、RA系抑制薬+β遮断薬遵守群のHRは1.12(同1.04~1.21)、スタチン+β遮断薬遵守群のHRは1.17(同1.10~1.25)と有意に高かった。
1剤のみ遵守群の死亡HRはRA系抑制薬群が1.19(95%CI 1.07~1.32)、スタチン群が1.26(同1.15~1.38)、β遮断薬群が1.32(同1.21~1.44)だった。また、3剤全て非遵守群のHRは1.65(同1.54~1.76)であった。
(編集部)
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