FT4正常高値が心房細動リスクと関係
【海外短報】
2017年12月19日 06:05
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甲状腺機能正常者では甲状腺刺激ホルモン(TSH)ではなく遊離サイロキシン(FT4)の正常範囲内高値が心房細動(AF)のリスクと関係することを示す研究結果が、国際共同研究グループによりCirculation(2017; 136: 2100-2116)に発表された。
潜在性甲状腺機能亢進症ではAFのリスクが高いが、甲状腺機能の正常範囲内での高低または潜在性甲状腺機能低下症がAFと関係するかどうかは明らかではない。同グループはMEDLINEとEMBASEを検索し、登録時の甲状腺機能とAF発症との関係を評価した2016年7月27日までの前向きコホート研究のシステマチックレビューを行った。
甲状腺機能正常はTSH値0.45~4.49mIU/L、潜在性甲状腺機能低下症はTSH値が4.5~19.9mIU/LかつFT4値が正常範囲内と定義した。Cox比例ハザードモデルにより、甲状腺機能正常群と潜在性甲状腺機能低下症群のTSH値とAF発症との関係を検討した。また、甲状腺機能正常群ではFT4値とAF発症との関係についても検討した。
対象は11研究(計3万85例)で、1,958例(6.5%)が潜在性甲状腺機能低下症だった。計27万8,955人・年の追跡期間中に2,574例(甲状腺機能正常群2,359例、潜在性甲状腺機能低下症群215例)がAFを発症した。
解析の結果、甲状腺機能正常群と潜在性甲状腺機能低下症群のいずれにおいても、登録時のTSH値とAF発症との間に有意な関係は認められなかった。一方、年齢と性を補正した解析で、甲状腺機能正常群では登録時FT4の正常範囲内高値がAF発症と関係し、FT4値第1四分位に対する第4四分位のハザード比は1.45(95%CI 1.26~1.66、四分位間の傾向性のP≦0.001)であった。先在する心血管疾患を補正後も推定値に大きな変化はなかった。
(編集部)