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治療薬の存在わずか―希少疾患

毎年2月末日は「世界希少・難治性疾患の日」

 2018年02月15日 06:45
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 2月末日の「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day;RDD)」を前に、RDD日本開催事務局とファイザーは2月1日に、東京都でプレスセミナーを開いた。希少・難治性疾患は約7,000種類にも上るが、そのうち米国で治療薬が承認されている疾患は5%にすぎない。希少・難治性疾患(以下、希少疾患)の解明や治療法の開発に向け、現在、病因遺伝子の同定や症状などに関する情報の国際共有が進められている。

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切れ目のない研究・臨床の体制整備を

 希少疾患の1つである小児ミトコンドリア病は、エネルギー代謝の中核として作用する細胞内小器官ミトコンドリアに機能不全を来し、多彩な症状を呈する症候群の総称である。原因により核またはミトコンドリアの遺伝子異常に分類され、現在約290の遺伝子変異が見いだされている。

 千葉県こども病院代謝科部長の村山圭氏らは、日本における小児ミトコンドリア病の遺伝子解析を実施し、患児の35%で原因遺伝子を特定した(2016年)。2007年に同科で小児ミトコンドリア病と診断された新規患者は29例であった。しかし、遺伝子検査および生化学検査の導入によって診断率が向上し、昨年(2017年)は152例が新たに診断された。

 しかしいまだ特定されていない原因遺伝子も多い。これまで日本とドイツ、オーストリアで類似の症例が報告されたことから、同氏らの研究グループを含む3カ国合同で研究を行い、ミトコンドリア病における病因遺伝子として新たにイソロイシルtRNA合成酵素(IARS)遺伝子を同定した(Am J Hum Genet 2016; 99: 414-422)。こうした事例を踏まえ、同氏は「希少疾患の解明には国際連携が不可欠である」と述べた。

 希少疾患の治療においては早期診断と早期治療が原則である。例えば早期に診断され、治療を開始した乳児型ポンペ病患児では長期の生存が可能であり、同氏は希少疾患を拾い上げる新生児のスクリーニング検査を勧めてほしいと訴えた。また、希少疾患患者においては①病態の解明②診断法・治療法の開発③早期診断・早期治療―の切れ目ない体制づくりが必要であり、同氏はその実現に向け「医療従事者、研究者、製薬企業、患者・家族が手を結んでいきたい」と述べた。

病態解明に向けデータベースを構築

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構バイオバンク事業部統合データベース室室長・バイオクリニカル情報学分野准教授の荻島創一氏は、希少疾患診療の課題である診断の難しさに対する最新研究を紹介した。

 米・Johns Hopkins Universityが集積する遺伝性疾患カタログ「Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)」には、今年1月現在で5,175疾患が収載されている。しかし未収載の遺伝性疾患は多く、診断不明の患者の相当数が遺伝性疾患に該当するともいわれている。

 米国立衛生研究所(NIH)の「革新的ゲノム配列決定技術」を用いると、1人分のヒトゲノムが1,000ドル以下で読解できる。しかし、希少疾患の確定診断には病的バリアントのデータを集積し、どの遺伝子に異常があると疾患が発症するかを検討する必要がある。日本では、日本医療研究開発機構(AMED)が連携病院における未診断患者の遺伝子変異を解析し、データベース化して診療体制をつくる未診断疾患イニシアチブ(IRUD)を進めており、米未診断疾患ネットワーク(UDN)など海外の研究機関との連携も行っている。

 また村山氏が指摘したように、疾患別に症例情報を集積し世界で情報を共有することも不可欠で、その手段として国際的標準化記載方法である「Human Phenotype Ontology(HPO)」が開発された。HPOは医師が診療録に記載した症状を自動的に拾い上げるシステムで、各国の言語に翻訳されている。さらに症状から希少疾患を推測し、該当すると思われる疾患を確率の高い順に提示するシステムも開発されている。一方、病態の解明や創薬の開発、実態調査につながるデータ提供の場として、患者自身が症状などのデータを入力する患者レジストリも実施されている。

 希少疾患は、医療機関や国単体で見ると患者数が少ない。そのため、荻島氏は「症例を統合することで希少疾患の研究ができる。研究を加速させるには、国際的な連携が極めて重要である」と強調した。

RDDは関係者全ての日

 RDDは2008年に始まり、毎年2月末日に世界各地で記念イベントが開かれる。日本では2010年に初めて記念イベントを東京、三重、京都で開催し、今年で9年目を迎える。

 RDD日本開催事務局局長の西村由希子氏によると、2010年には東京会場の参加者は300人だったが、その後毎年増え、昨年は2,000人以上が参加したという。記念イベントの開催は全国35地域まで増えた。

 記念イベントの参加者は患者・家族だけでない。医師・研究者、行政やAMEDなどの研究機関、製薬企業関係者なども含む。これまで疾患啓発というと、患者自身による情報発信が多かった。しかし、RDDにおける情報発信は患者以外にも多くの人が携わっており、前述の全ての関係者が啓発を行っているように、同氏は「RDDは希少・難治性疾患領域の新たな協働の入り口と考えている」と説明した。

 今年のRDDのテーマは「つながるちから~Take Action Now !~」。患者同士ではつながりやすいが、患者以外の人との垣根を取り払って手を伸ばし、患者以外の人ともつながっていく、行動しよう―という思いを込めた。

 記念イベントは、初開催となる5地域を含む39地域で行われる予定で、東京会場は2月28日(水)に新丸ビルで開催される。理化学研究所骨関節疾患研究チームチームリーダーの池川志郎氏、東京大学分子病理学教授の宮園浩平氏らが基調講演を行い、その内容はライブ配信される。詳細は「Rare Disease Day レアディジーズデイ 世界希少・難治性疾患の日」公式サイトを参照。西村氏は、多くの関係者に記念イベントに参加してもらいたいと呼びかけた。

(田上玲子)

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