米臓器移植で薬物過剰摂取死ドナーが急増
【海外短報】
2018年06月12日 06:10
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© Getty Images ※画像はイメージです
米国では、薬物の過剰摂取により死亡した人が臓器移植のドナーになるケースが急増している。米・Johns Hopkins UniversityのグループがAnn Intern Med(2018; 168: 702-711)に発表した。
同グループは、2000年1月1日~17年9月1日に同国の臓器移植センター297施設でScientific Registry of Transplant Recipientsに登録された死亡ドナー13万8,565例とレシピエント33万7,934例を対象に、ドナーの死因とレシピエントの転帰との関係を検討した。
ドナーの死因を薬物過剰摂取による死亡、外傷による死亡、疾患による死亡に分類。傾向スコアによる標準化リスク差(sRD)を用いて、レシピエントの生存、移植臓器の生着、臓器の廃棄(移植されなかった臓器)の割合を比較した。
全ドナーのうち薬物過剰摂取による死亡者は7,313例で、計1万9,897件の臓器移植(腎臓1万347件、肝臓5,707件、心臓2,471件、肺1,372件)が行われた。全ドナーに占める薬物過剰摂取による死亡者の割合は2000年の1.1%に対し、2017年には13.4%と劇的に増加していた。薬物過剰摂取で死亡したドナーは40歳以下の白人が多く、C型肝炎ウイルス感染者が18.3%、感染症の高リスク者が56.4%を占めた。
レシピエントの標準化5年生存率および移植臓器の標準化5年生着率は、ドナーの死因別3群(薬物過剰摂取による死亡、外傷による死亡、疾患による死亡)の間で有意差は認められなかった。腎臓の廃棄率は薬物過剰摂取による死亡群で、外傷による死亡群(sRD 5.2%)および疾患による死亡群(同1.5%)より高かった。
(編集部)
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