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「不安が癖になる」血にじむほど手洗い、ドア写真撮影...コロナ不安で強迫症リスク〔読売新聞〕

 2021年04月06日 15:47
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 新型コロナウイルスの感染リスクが伴う生活で、何度手を洗っても落ち着かない、外出できないなど、過度の不安にとらわれる「強迫性障害(強迫症)」の発症リスクに専門家が警鐘を鳴らしている。感染への不安や自粛生活のストレスが引き金になるとされ、程度がひどくなると、生活に支障をきたすまで悪化する恐れもあり、注意が必要だ。

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 「皮がむけるほど1日に何十回も手洗いをしてしまう」「誰かに感染させたらと思うと外出できない」

 大阪府高槻市の「稲田クリニック」には新型コロナウイルスの感染が拡大した昨春以降、そんな相談が相次いでいる。昨年4月~今年2月にかけ、強迫症などの新規患者が前年同期より1割以上増加しており、大阪精神科診療所協会理事でもある稲田泰之医師(53)は「潜在的に苦しんでいる人はもっと多いはず」と推測する。

 大阪府が昨年10月に開設した「こころのフリーダイヤル」への2月の相談件数も昨年10月より7割増の303件。相談内容の4割が、感染不安やストレスに関するものだったという。

 日本精神神経学会(東京)など5学会は昨年6月に公表した「メンタルヘルス対策指針」で、感染への不安や自宅にこもる時間が増えることで、強迫症の発症リスクが高まる恐れを指摘している。

 同学会所属の東北大の國井泰人准教授(災害精神医学)によると、ウイルスの目に見えないという特徴や、「うつす」「うつされる」という二つの不安があることが、精神疾患の発症・悪化を招きやすい一因という。

 単なる不安であれば、専門的な治療は必要ではないが、稲田医師によると〈1〉日常生活に支障が出ているか〈2〉自分や周囲が困っているか――が治療の必要な目安になる。「不安から職場に行けない」「家族に過度な手洗いを強要する」「家計を圧迫するほど消毒グッズを購入する」といったケースでは治療を推奨している。

「治療で良くなる」経験者の漫画家

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 強迫性障害に悩んだ経験を作品「強迫性障害治療日記」(2019年)として出版した漫画家・みやざき明日香さん(35)は、「適切な治療をすれば良くなるので、一人で悩まないで」と呼びかけている。

 応募の規定上は問題はなかったが、以降、様々なことが不安になった。血がにじむほど手を洗ったり、外出時に何度も施錠を確認し、ドアを写真撮影したりと「不安が癖のようになってしまった」と言う。次第に外出ができなくなった。

 「死ぬほど苦しかった」と当時を振り返るが、10年から専門病院を受診、18年から医師の指導で「曝露(ばくろ)反応妨害法」という治療を始めた。恐れていた状況に向き合い(曝露)、恐怖を消すための行動をしない(反応妨害)治療法で、訓練を繰り返すうちに、不安が軽減し、少しずつ改善した。

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 新型コロナの感染が拡大した昨年からは「同居の母親を感染させてしまうのでは」と再び外出が不安になったが、過去の治療経験もあり、改善に向かいつつあるという。

 みやざきさんは、昨年10月発売の「ヤングマガジン サード」(講談社)に、啓発のための漫画も掲載しており、「コロナは自分が作り出す架空の恐怖ではなく、実在する感染症なので、なおさら恐怖感が強い。悪化する前に専門家に相談し、自分に合う治療法を探してほしい」と話している。

  ◆強迫性障害(強迫症) =▽過度な手洗い▽施錠やガス栓が気になり過剰に確認する▽不吉とされる特定の数字などへの異常なこだわり▽不要物をため込む――などの症状がある。厚生労働省の試算では国内に100万人程度の患者がいるとされる。

(2021年4月6日 読売新聞・神谷次郎)

ヨミドクター

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