新規RAS阻害薬の開発に成功:細胞膜透過性ペプチドを活用
2021年05月12日 14:49
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岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科教授の上田浩氏らは、細胞膜透過性蛋白質に注目し、新たなRAS阻害薬を開発したことをCell Chem Biol(2021年5月4日オンライン版)で報告した。
RAS蛋白質は悪性腫瘍の約30%で活性型に変異し、がんの増殖や転移を促進する因子として機能するため、RASの阻害によりさまざまながんを抑制することが期待される。同氏らは、RAS結合ドメインに細胞膜透過性ペプチドの修飾を加えることにより、細胞膜を透過しRASを強く阻害する薬剤を見出した。KRAS G12C変異を標的とした薬剤としてソトラシブがあるが(関連記事「ソトラシブ、KRAS G12C変異陽性の切除不能進行NSCLCで国内承認申請」)、同薬はG12C変異型RASだけでなく、G12V、G12Dなどの変異型RASを阻害することが確認された。
本剤を基本骨格にしてさまざまな改良を加えることで、将来的に革新的な抗がん剤に発展することが期待できるという。