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終末期乳がんの皮膚病変、予後不良に直結せず

 2021年07月13日 17:10
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 がん患者では全てのがん種の5~15%に皮膚病変が認められ、臭気、浸出液、出血など特有の症状を伴う。中でも乳がん患者は3割に皮膚転移が生じる(J Am Acad Dermatol 1993; 29: 228-236)。横浜市立大学病院臨床腫瘍科/国立がん研究センター中央病院緩和医療科の竹田雄馬氏は、皮膚病変を有する終末期乳がん患者の症状と予後の関連を検討。乳がん患者の皮膚病変は予後不良因子でないとの結果を第26回日本緩和医療学会(6月18~19日、ウェブ併催)で発表した。

皮膚病変なし群で遠隔転移数が多い

 竹田氏らは、2017年1~12月に国内23施設の緩和ケア病棟に入院した進行がん患者1,896例のうち、女性乳がん患者131例を対象に前向き観察研究を実施。皮膚病変あり群(44例、33.6%)と皮膚病変なし群(87例、66.4%)に分け、退院または死亡まで追跡して予後を前向き観察研究比較した。

 入院時の患者背景を見ると、肝臓、肺など重要臓器への遠隔転移数の平均値は皮膚病変あり群の1.8に対し、なし群では2.4と有意に多く(P<0.01)、中でも肺で差が顕著だった(52% vs. 77% P<0.01)。疼痛Numerical Rating Scale(NRS)中央値は皮膚病変なし群の1.7に対し、皮膚病変あり群で2.4と有意に高かった(P<0.01)。一方でオピオイド使用率は皮膚病変なし群で66%(57例)と高かったが、両群に有意差は見られなかった(P=0.41、)。

表. 皮膚病変の有無の比較

(竹田雄馬氏発表資料を基に編集部作成)

 また痛みや息切れ、だるさ、食欲不振、眠気、口渇などの主要な症状の頻度分布に両群で有意差は認められなかった。

 入院時の予後予測評価尺度(Palliative Prognostic Index;PPI)スコアが6.0点以上の高値だった患者の割合は皮膚病変なし群の56.3%(49例)に対し、あり群では36.4%(16例)と低かった(P=0.03)。PPI中央値はそれぞれ6.5、4.5であった(P=0.07)。一方、生存期間の中央値は21日(95%CI 13.0~26.0日)、23日(同 13.0~33.0日)と両群に差は見られなかった(P=0.48)。

 これらの結果から、同氏は「皮膚病変があると痛みが強く、皮膚に関する症状が多い一方で、皮膚病変がある患者で肺などの重要臓器への転移は少なく、予後に差は見られなかった」と結論した上で、「乳がん患者の皮膚病変は予後不良因子ではないことが示唆された。皮膚病変は多様な症状を呈する」と付言した。

(渡邊由貴)

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