パーキンソン病に対するイストラデフィリン、欧州で承認に否定的見解
2021年07月29日 11:57
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協和キリンは7月28日、イストラデフィリン(一般名、開発コード:KW-6002)について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)がウェアリングオフ現象を有する成人パーキンソン病患者におけるレボドパ含有製剤との併用療法を適応症とした承認について、否定的な見解を示したと発表した。同社の欧州子会社であるKyowa Kirin Internationalは、イストラデフィリンについて再審査も視野に、承認に向けた選択肢を検討しているという。
ウェアリングオフ現象は、レボドパ製剤の薬効時間が短縮し、服用後数時間を経過するとその効果が消退する現象のこと。イストラデフィリンは、非ドーパミン系のファーストインクラスであるアデノシンA2A受容体阻害薬で、大脳基底核においてアデノシンA2Aを選択的に阻害することによりパーキンソン病におけるウェアリングオフ時間を短縮する。運動(動作)を促すために直接的もしくは間接的経路でドーパミン受容体に作用するドーパミン系の薬剤(レボドパ含有製剤)とイストラデフィリンを併用することで、運動を抑制する間接的経路の活動が減少し、大脳基底核内のバランスを取り戻すことができるとされている。
Kyowa Kirin International の代表取締役社長Abdul Mullickは「CHMP の見解について非常に残念に感じている。われわれはイストラデフィリンのベネフィット・リスクプロファイルに確信をもっており、長い間革新的な治療法が見出されてこなかったパーキンソン患者の生活を変えることがわれわれの使命だと考えている。イストラデフィリンはパーキンソン病患者にとってウェアリングオフ現象を制御できる薬剤になりうる。欧州におけるイストラデフィリンの承認可能性を引き続き追求していく」とコメントしている。