緩徐進行1型糖尿病の診断基準が改訂
日本糖尿病学会
2023年01月13日 17:08
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日本糖尿病学会は、2012年に策定した緩徐進行1型糖尿病の診断基準を改訂。昨日(1月12日)、公式サイトに掲出した。今回、必須項目が1つ追加され、項目の数に応じて緩徐進行1型糖尿病をdefiniteまたはprobableと判定する。
必須3項目を満たせばdefinite
緩徐進行1型糖尿病<は、1982年に小林哲郎氏(当時 虎の門病院内分泌代謝科)らによって提唱された1型糖尿病のサブタイプの1つである。
日本糖尿病学会によると、同学会の1型糖尿病における新病態の探索的検討委員会は、2012年に策定された緩徐進行1型糖尿病の診断基準の見直しを進めてきたという。
今回、診断に関する必須項目として新たに③が追加された。
①経過のいずれかの時点で膵島関連自己抗体が陽性
②原則として糖尿病診断時にケトーシスまたはケトアシドーシスがなく、直ちに高血糖是正のためのインスリン療法を必要としない
③経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病診断後3カ月を過ぎてからインスリン療法を要し(典型例は6カ月以上)、最終観察時点で内因性インスリン欠乏状態(空腹時血清Cペプチド0.6ng/mL未満)にある
必須項目を全て満たす場合は「緩徐進行1型糖尿病(definite)」と診断。①、②のみを満たす場合はインスリン非依存状態であり、「緩徐進行1型糖尿病(probable)」と診断する。
①の膵島関連自己抗体については、これまでのグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、膵島細胞抗体(ICA)に加えて、Insulinoma-associated antigen-2(IA-2)抗体,亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体、インスリン自己抗体(IAA)も加わった。また今回、内因性インスリン欠乏状態を具体的に示し、probableと区別している。
なお、改訂の詳細は同委員会が論文として報告し、実臨床での対応の詳細はステートメントとして発表を予定するという。
(田上玲子)