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「複合的」生活習慣改善で糖尿病合併症は?

2023年01月17日 05:00

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 2型糖尿病患者における複合的な生活習慣の改善が、微小血管合併症リスクにどのような影響を及ぼすかは明らかでない。中国・Huazhong University of Science and TechnologyのTingting Geng氏らは、両者の関連を検討した。結果をPLoS Med2023; 20: e1004135)に報告した。

糖尿病患者1万5,000例超が対象

 糖尿病患者において微小血管合併症リスクを低減するには、薬物治療だけでなく、食事や運動など生活習慣の改善も重要とされる。Geng氏らは「個別の生活習慣改善と微小血管合併症リスク低下との関連は報告されているが、われわれの知る限り、複数の生活習慣の組み合わせと微小血管合併症リスクとの関連は十分に検討されていない」と言う。

 そこで同氏らは、複数の生活習慣改善の取り組みと微小血管合併症リスクとの関連を検討する後ろ向きコホート研究を実施。英国の大規模コホート研究UK Biobankに登録された2型糖尿病患者のうち、2006〜10年のベースライン時に大血管および微小血管合併症の既往がなかった1万5,104例を対象とした。主な患者背景は、平均年齢が59.3歳、男性が9,112例(60.3%)、平均糖尿病罹病期間が6.4年、平均HbA1c値が6.9%。

 生活習慣改善については、①ウエスト周囲長(男性94cm未満、女性80cm未満)、②禁煙の継続、③運動の実施(軽い日曜大工、散歩、水泳やサイクリングなどのエクササイズ、本格的な日曜大工、激しい運動を運動強度別に採点した上位3つの運動)、④食事摂取(果物、野菜、全粒穀物、魚、乳製品、植物油、精製穀物、加工肉、非加工肉、加糖飲料に基づく食事スコアで評価)、⑤アルコール摂取(男性1〜28g/日、女性1〜14g/日)〕―の5項目とし、実現した項目数(0〜5)と微小血管合併症リスクとの関連を検討した。

改善項目が0〜1に対し4〜5で微小血管合併症リスク半減

 11万7,445人・年(中央値8.1年)にわたる追跡期間中に、死亡が1,639例(10.9%)、微小血管合併症が1,296例(8.6%)発生した。微小血管合併症の内訳は、糖尿病網膜症が558例(3.7%)、糖尿病腎症が625例(4.1%)、糖尿病神経障害が315例(2.1%)だった。

 Cox比例ハザード回帰モデルにより年齢、性、Townsend剥奪指数、人種、教育歴、睡眠時間、心血管疾患・高血圧の家族歴、糖尿病罹病期間、HbA1c、糖尿病治療薬などを調整し、生活習慣の改善を達成した項目数が少ない(0〜1)患者に対する多い(4〜5)患者の微小血管合併症全体および個別のリスクを求めた。その結果、調整後ハザード比(HR)は、微小血管合併症全体が0.54(95%CI 0.43〜0.68)、糖尿病網膜症が0.65(同0.46〜0.91)、糖尿病腎症が0.43(同0.30〜0.61)、糖尿病神経障害が0.46(同0.29〜0.74)と、いずれもリスクの有意な低下が示された(順に傾向性のP<0.001、P=0.01、P<0.001、P<0.001)。

 以上から、Geng氏らは「2型糖尿病患者における複合的な生活習慣改善の取り組みは、微小血管合併症リスクの有意な低下との関連が示唆された」と結論。加えて、血糖コントロール、全身性炎症、腎機能、脂質プロファイルの部分的な改善ももたらされており、複合的な生活習慣改善を目的とした介入プログラムのさらなる検証の必要性を訴えている。

松浦庸夫

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