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父親の育休取得で母親の産後うつリスク上昇

子供の出生~成人期を追跡した全国コホート研究

2023年01月18日 17:33

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 フランス・Sorbonne UniversitéのKatharine M. Barry氏らは、フランスの子供を出生から成人期まで追跡した全国コホート研究Etude Longitudinale Française depuis l'Enfance (ELFE)のデータを使用し、父親の2週間の育児休暇取得と出生2カ月後の母親および父親の産後うつ病との関連を検討。父親の2週間の育児休暇取得や取得予定により父親の産後うつ病リスクは低減、その一方で母親の産後うつ病リスクは上昇したとLancet Public Health2023; 8: e15~e27)で報告した。

出生2カ月後の両親の産後うつ病を評価

 これまでに、母親の育児休暇取得と産後うつ病との関連については多くの研究が行われているが、父親の育児休暇取得と産後うつ病との関連についてはほとんど検討されていない。そこでBarry氏らは、ELFEのデータを用いて父親の2週間の育児休暇取得と出生2カ月後の父親および母親の産後うつ病との関連を検討した。

 出産直後に対面で母親への面談を実施。出生2カ月後には父親、母親の両方に電話面談を行った。出生2カ月後の母親への電話面談で、父親の職場における育児休暇制度の有無、取得状況(取得済み、取得予定、非取得)を確認した。出生2カ月後の父親と母親の産後うつ病評価には、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を用いた。過去の文献にならい、EPDS スコアが父親では10点以上、母親では11点以上を産後うつ病と定義した。

 解析対象は、フランス国内の医療機関320施設で2011年に出産した母親のうち産後うつ病に関する情報を入手できた母親1万3,075人と、同じく産後うつ病に関する情報を入手できた父親1万975人。児の出生時における父親の年齢中央値は32.6歳、母親の年齢中央値は30.5歳だった。

育児休暇取得群のオッズ比は、父親0.74に対し母親は1.13

 父親の育児休暇取得状況別に見た父親のうつ病有病率は、育児休暇取得群で4.5%、育児休暇取得予定群で4.8%、育児休暇非取得群で5.7%。一方、母親の産後うつ病有病率はそれぞれ16.1%、15.1%、15.3%だった。

 父親は育児休暇取得群〔オッズ比(OR)0.74、95%CI 0.70~0.78、P<0.001〕と育児休暇取得予定群(同0.76、0.70~0.82、P<0.001)で、出生2カ月後に産後うつ病と診断されるリスクが有意に低かった。

 しかし母親には、パートナーである父親が育児休暇を取得した場合(OR 1.13、95%CI 1.05~1.20)でも、育児休暇取得予定の場合(同1.02、0.96~1.08)でも、父親に見られたような産後うつ病リスクの低減は認められなかった。

 以上から、Barry氏は「父親の育児休暇取得や取得予定により、たとえ2週間という短期間であっても父親の産後うつ病リスクが低減しうる。一方、母親の産後うつ病リスクは高まる可能性が示された。父親の休暇中の育児への関与、休暇取得の動機、精神的健康歴、育児休暇中の父親および母親への社会的支援などが影響している可能性が考えられる」と考察。「母親の産後うつ病予防に最適な父親の育児休暇の期間や時期については、さらなる検討を要する」と付言した。

(比企野綾子)

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