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鉛の血中濃度と痛風が有意に相関

2023年01月20日 16:50

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 金属曝露と痛風転帰との関連についての疫学的エビデンスは乏しい。中国・Shaanxi Provincial People's HospitalのJing Xu氏らは、一般成人を対象に5種類の金属への曝露と血清尿酸値(SUA)、高尿酸血症、痛風との関連を検討。複数の金属、特に血中鉛濃度が痛風関連の転帰と有意に相関することをFront Endocrinol2022; 13: 1052784)に報告した。

米・NHANES約1万5,000人のデータを解析

 Xu氏らは、米国民保健栄養調査(NHANES)2011~18年のデータから、一般成人1万4,871人を抽出。5種類の金属(水銀、マンガン、鉛、カドミウム、セレン)の血中濃度とSUA、高尿酸血症、痛風との関連について回帰モデルを用いて検討した。

 主な背景は平均年齢が50.0歳、男性が49.3%で、学歴は高卒以上が78.1%だった。SUA中央値は5.30mg/dL〔四分位範囲(IQR)4.40~6.40mg/dL〕、高尿酸血症と痛風の罹患率は、それぞれ18.6%と4.9%だった。

 金属の血中濃度中央値は、水銀が0.78ug/L、マンガンが9.26ug/L、鉛が1.02ug/L、カドミウムが0.32ug/L、セレンが191.51ug/Lだった。

水銀、鉛、セレンの血中濃度が高尿酸血症および痛風と関連

 年齢、性、学歴、人種、喫煙、BMI、坐位時間など共変数を調整して線形回帰分析を行った。その結果、水銀、鉛、セレンでは血中濃度第1四分位群に対し第2四分位群~第4四分位群で、SUAとの有意な正相関が認められた(全て傾向性のP<0.001)。

 共変数を調整後の多変量ロジスティック回帰分析の結果、水銀では血中濃度第2四分位群および第4四分位群で、鉛では第2四分位群~第4四分位群で、セレンでは第2四分位群および第4四分位群で、高尿酸血症との有意な正相関が認められた(順に傾向性のP=0.001、P<0.001、P=0.006)。

 制限付き三次スプライン回帰モデルでは、水銀、鉛、セレンの血中濃度と高尿酸血症との間に正の線形相関が認められた(順に非線形性のP=0.512、P=0.187、P=0.711)。

 痛風についても同様に解析。その結果、水銀および鉛において、血中濃度第4四分位群と痛風との間に有意な正相関が認められた〔水銀:オッズ比(OR)1.390、95%CI 1.104~1.751、鉛:同1.905、1.412~2.572〕。制限付き三次スプライン回帰モデルでは、これら2金属の血中濃度と痛風との間に正の線形相関が認められた(順に非線形性のP=0.382、P=0.741)。

WQS回帰で金属混合物の影響を検討

 さらにXu氏らは、加重分位点合計(WQS)回帰モデルを用いて、5種類の金属の混合状態での影響を検討した。これは、実世界では環境汚染物質として複数の金属に同時曝露することが多いためである。

 解析の結果、血中金属濃度のWQS指標は、SUA(β=0.17、95%CI 0.13~0.20)、高尿酸血症(OR 1.29、95%CI 1.16~1.42)、痛風(同1.35、1.15~1.58)と独立して相関していた(全てP<0.001)。また、全ての共変数を調整後、痛風転帰に対する重要度は鉛が最も高かった(SUA:Weight=0.589、高尿酸血症:同0.482、痛風:同0.527)。

 同氏らは「血中濃度で評価した複数の金属への曝露が痛風関連の転帰と有意に相関すること、特に鉛で関連が最も強いことが示唆された」と結論している。

(小路浩史)

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