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うつ病に有効な治療で併存疾患も改善

ランダム化比較試験・メタ解析30件のシステマチックレビュー

2023年01月23日 15:00

269名の医師が参考になったと回答 

 米・Sage Therapeutics社のAlix M. Arnaud氏らは、大うつ病性障害(MDD)に対して有効な治療がMDD患者の併存疾患に及ぼす影響をランダム化比較試験(RCT)24件とメタ解析6件の計30件によるシステマチックレビューで検討。その結果、パーキンソン病、多発性硬化症、慢性疼痛および線維筋痛症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管疾患(CVD)を合併するMDD患者において、抑うつ症状を有意に改善する治療は併存疾患の発症リスクや重症度も有意に改善することが示されたとPrim Care Companion CNS Disord2023; 25: 22r03330)に発表した。

抑うつ症状の有意な改善と同時にCVDイベントも減少

 うつ病はしばしば併存疾患の発症や悪化を伴うことが複数の研究で示されているが、MDDに対し有効な治療が併存疾患の発症リスクや重症度を改善するかどうかは明らかでなかった。

 そこでArnaud氏らは、MEDLINEなどの医学データベースと関連学会の学術集会の抄録を検索し、①MDDの治療に関する検討結果を英語で報告したRCTまたはRCTのメタ解析、②MDD治療群で他群または対照群と比べて抑うつ症状が有意に改善、③治療期間中の併存疾患の新規発症率または重症度の変化を評価ーの条件に合致する研究を抽出。RCT 24件・6,333例とメタ解析6件の計30件を解析に組み入れた。

 解析対象とした併存疾患は、がん、中枢神経系障害、CVD、代謝・内分泌疾患、自己免疫疾患、消化管疾患、疼痛関連疾患、呼吸器疾患、物質使用障害。治療の内訳はセルトラリン、デュロキセチン、ミルタザピン、フルオキセチンなどの抗うつ薬による薬物療法をはじめ、認知行動療法(CBT)などの非薬物療法も含まれた。

 解析の結果、パーキンソン病、多発性硬化症、慢性疼痛および線維筋痛症、COPD、CVDを合併するMDD患者において、MDDに対する有効性が低い治療と比べ、抑うつ症状を有意に改善する治療はこれらの併存疾患の発症リスクや重症度も有意に改善することが示された。

 例えば、ベースラインでCVD未発症のMDD患者において、抗うつ薬とCBTの併用群で通常治療群と比べ抑うつ症状重症度スコア(SCL-20)が有意に改善し(ベースラインからの平均変化量-0.4 vs. 0.1、P<0.001)、同時に複合CVDイベント発生率が有意に低下した〔28% vs. 47%、P=0.010、ハザード比(HR)0.52、95%CI 0.31~0.86、P<0.05)〕。

 また、心疾患による入院歴のある患者において、プラセボ群と比べセルトラリン投与群で機能的改善の指標である心拍変動の超低周波数成分(ultra low-frequency power)が有意に改善した(-0.113±-10.7、vs. 0.086±9.1、P=0.02)。

 以上を踏まえ、Arnaud氏らは「MDDに対して有効な治療は、特定の重篤な併存疾患の発症リスクや重症度の改善につながる可能性があり、MDDに対する適切かつ適時の治療の重要性が浮き彫りになった」と結論している。

パーキンソン病、多発性硬化症なども症状軽減

 その他の併存疾患別に見た改善度は、パーキンソン病合併例では臨床的モニタリングのみを受けた群と比べてCBT群で2種類の抑うつ症状スコアが有意に改善し〔Hamilton Depression Rating Scale(HDRS)平均スコア13.58 vs. 19.33、P<0.0001、Beck Depression Inventory(BDI)平均スコア9.74 vs. 17.45、P=0.001〕、同時にUnified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS)スコアも有意に改善した(40.11 vs. 49.59、P=0.001)。

 多発性硬化症合併例では、対照群と比べ電話によるCBT群でHDRSスコアが有意に改善し(治療×時間相互作用効果の推定値(treatment by time effect estimate)-0.17、P=0.01)、神経障害の評価尺度Guy's Neurologic Disability Scale(同-0.169、P=0.004)および疲労の影響の評価尺度Fatigue Impact Scale(同-0.302、P=0.032)の各スコアも有意に改善した。

 線維筋痛症の合併例では、プラセボ群と比べてクエチアピン投与群でHDRSスコアが有意に改善し(平均差-3.7、95%CI -5.9~-1.5、P=0.001)、同時にBrief Pain Inventory(BPI)total(同-1.6、-2.8~-0.5、P=0.007)、BPI-Severity(同-0.6、-1.2~0、P=0.036)、BPI-Interference(同-1.0、-1.7~-0.2、P=0.008)の各疼痛スコアも有意に改善した。

 COPDの合併例では、プラセボ群と比べてノルトリプチリン群で治療終了時の平均HDRSスコアが有意に低く(22.8 vs. 12.6、P=0.01)、同時に呼吸関連症状(治療効果の差5.4、P=0.04)、Pulmonary Functional Status Instrumentの変化で評価した疾患重症度が有意に改善した(同0.71、P=0.002)

(太田敦子)

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