メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  消化器 »  下痢型過敏性腸症候群に鍼治療が有効

下痢型過敏性腸症候群に鍼治療が有効

FDA評価項目を用いたパイロット試験

2023年01月30日 05:00

284名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像

 中国・Beijing University of Chinese MedicineのLing-Yu Qi氏らは、下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)に対する鍼治療の有効性を、米食品医薬品局(FDA)が推奨する有効性評価項目を用いたランダム化パイロット試験で検証。有意差はなかったものの、鍼治療群で臨床的に意味のある改善が示されたとJAMA Netw Open2022;5:e2248817)に報告した。

鍼治療の試験ではプラセボ効果が現れやすい

 過敏性腸症候群(IBS)は腹痛や排便回数の異常を主訴とし、人口の5~10%が罹患している一般的な疾患である。IBSはプライマリケア受診理由のトップ10の1つともいわれ、QOLは糖尿病患者や末期腎不全患者よりも悪いとの報告もある。

 IBSに対する鍼治療の有効性を示唆する研究はこれまでにもあり、作用機序としては内臓過敏(visceral hypersensitivity)の改善や脳腸軸(brain-gut axis)の調節が関係していると考えられている。一方、主観的な評価尺度を主要評価項目とするIBSの臨床試験ではプラセボ反応率が高いことから、臨床試験ではFDAが推奨する複合評価項目を採用すべきとの意見もある。そこでQi氏らは、FDAの推奨評価項目を用いてIBSに対する鍼治療の有効性を検証するパイロット試験を実施した。

1回30分の治療を週3回、4週連続で施行

 同試験は、中国の三次病院4施設で2020年7月1日~21年3月31日に実施。18~75歳の201例が参加に同意したが、そのうち炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)をはじめとする消化管疾患の患者や、スケジュールの都合などで毎回の参加が難しい患者などを除外した結果、最終的に90例〔男性54例(60%)、平均年齢34.5歳±11.3歳〕を対象とした。

 特異的経穴(specific acupoints;SA)群、非特異的経穴(nonspecific acupoints;NSA)群、シャム群に1:1:1でランダムに割り付け、1回30分の治療を週に3回、4週連続で施行した。治療は3年以上の臨床経験を有する認定鍼療法士が行い、SA群とNSA群には使い捨ての鍼を、シャム群には見た目は治療鍼と同じで皮膚を刺入しないが同様の痛みを惹起できる偽鍼を使用した。

 主要評価項目(反応率)は、FDA推奨の複合評価項目である①腹痛スコア(0~10点、0:痛みなし、10:最も耐え難い痛み)の最悪値がベースラインから30%以上改善、かつ②ブリストル便形状尺度のタイプ6(不定形で辺縁不整の崩れた便)またはタイプ7(固形物を含まない水様便)の便の日が50%以上減少した患者の割合とし、4週時点で評価した。

鍼治療群で反応率20%高いがプラセボ群との有意差なし

 試験の結果、4週時点の反応率はSA群46.7%(95%CI 28.8~65.4%)、NSA群46.7%(同28.8~65.4%)、シャム群26.7%(同13.0~46.2%)と、3群間に有意差は認められなかった(P=0.18)。

 副次評価項目の1つである「IBS主症状の十分な緩和」(IBS Adequate Relief;IBS-AR)が得られた患者の割合についても、SA群64.3%(95%CI 44.1~80.7%)、NSA群62.1%(同42.4~78.7%)、シャム群55.2%(同36.0~73.0%)と有意差はなかった(P=0.76)。有害事象はそれぞれ2例(6.7%)、4例(13.3%)、4例(13.3%)に発生したが、全て軽度かつ一過性のものであり、重篤な有害事象やレスキュー療法が必要となった例はいなかった。

実臨床に近い形式での大規模試験が必要

 今回の結果について、Qi氏らは「有意差は得られなかったものの、鍼治療群(SA群とNSA群)とシャム群の20%という反応率の差は、実臨床において意味があると考えられる。なぜなら、総合アウトカム尺度でプラセボ群より10~15%の改善が示された場合、臨床的に意味ある効果と考えられるとの報告があるからだ」と指摘。

 IBS-ARについては「IBSの個々の症状改善と相関するものである」と説明し、「SA群の60.0%というIBS-AR改善率は、鍼治療でIBS症状を効果的に改善できるとの既報と一致する結果である」としている。

 有意差が得られなかった理由については、①サンプルサイズが小さかったため真の有効性が過少評価された、②費用や患者のアドヒアランスを考慮して12回しか施行できなかった、③鍼治療においては「得気(deqi:鍼を刺入した後に得られる特殊な感覚と反応)」が治療効果を左右する重要な要因であり、実臨床においてはもっと頻回にdeqiが行われる―の3つを挙げ、「IBS-Dに対する鍼の治療効果を正しく評価するには、十分な検出力を有するより大規模な試験が必要である」と結んでいる。

木本 治)

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(4月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

大阪万博まであと1年

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  消化器 »  下痢型過敏性腸症候群に鍼治療が有効