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PPI休薬中のアルギン酸で症状増悪を抑制

胃食道逆流症検査前の定期服用が有用

2023年02月02日 16:31

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 英・The Functional Gut ClinicのAndres Vales氏らは、胃食道逆流症(GERD)検査前のプロトンポンプ阻害薬(PPI)休薬期間中にアルギン酸を定期的に服用することで、休薬に伴う症状増悪を抑制できるとの非盲検ランダム化比較試験の結果をBMJ Open Gastro enterol2023; 10: e001026)に報告した。

GERD-HRQLで症状の変化を評価

 通常、GERDの検査前にはPPIを休薬するが、PPIの休薬により症状の増悪がもたらされ、失敗に終わることも少なくない。また、患者が検査前の指示を守らなかった場合、検査の精度に影響を及ぼしうる。

 Vales氏らは、食道マノメトリー検査と24時間食道インピーダンス・pH モニタリングのため、The Functional Gut Clinicに紹介された患者を、①検査前の1週間、PPIとH2ブロッカーの服用中止など通常の指示を与える対照群〔ただし、患者の判断で制酸薬(アルギン酸)を服用してもよい〕、②通常の指示に加え、PPI休薬中はアルギン酸(Gaviscon Advance)10mLを1日4回(毎食後と就寝前)服用する治療群ーにランダムに割り付けた(Gaviscon Advance 10mLにはアルギン酸ナトリウム1,000mgと炭酸水素カリウム200mgを含有)。

 対象は、スクリーニングの基準を満たした18歳以上の患者60例〔年齢中央値48歳(範囲18~76歳)、女性29例(48.3%)〕。主要評価項目はGERD健康関連QOL (GERD-HRQL:0~50点、高スコアほど重症)スコアの変化とした。

 副次評価項目は、消化器症状特異的尺度(GSRS:15~105点、高スコアほど重症)。

治療群ではGERDの症状変化なし、対照群は増悪

 試験開始時の質問票のデータに不備があった12例を主要評価項目の解析対象から除外し、対照群26例、治療群22例が最終的なintention-to-treat(ITT解析)の対象となった。

 1週間のPPI休薬前後で、治療群のGERD-HRQLスコア中央値に有意な変化は見られなかった〔ベースライン:19点(四分位範囲12点)、1週間休薬後:17.5点(11点)、中央値の差-1.5点、95%CI -2~3.5点、P=0.537〕のに対し、対照群では休薬後に有意な上昇(症状の悪化)を認めた〔同10点(14.8点)、16.5点(12点)、 6.5点 、 1~7点、P=0.036〕となる。

 GSRSは消化器症状を総合的に評価する一般的な質問票であり、Vales氏らは「アルギン酸の服用により、炎症性腸疾患に類似した症状が起きるどうかを評価するために使用した」と、その意図を説明している。結果としてGSRSスコアにも有意差はなかったものの、治療群で若干の改善が見られた。

 24時間食道インピーダンス・pH モニタリングに関しては、夜間ベースラインインピーダンス平均値 (MNBI)という指標で評価した。酸曝露時間と逆流イベントの割合(%)を示すMNBIは治療群で悪い傾向が見られたが、有意差はなかった。検査後、GERDと診断された患者は治療群の方が多かった(P=0.06)。

他の検査前のPPI休薬期間にも適用可能か

 重篤な有害事象はなかった。治療群の1例がアルギン酸の味を受け付けられず、2~3回の服用で中止したが、有害事象ではなく味の好みの問題と判定された。

 48例中2例が服薬期間中に禁止されていたPPIまたはH2ブロッカーの服用を報告した(治療群、対照群各1例)。また、対照群の14例(53.8%)が、服薬期間中に制酸薬(アルギン酸)を服用していた。5例は7日間毎日服用したと答え、4例は4日間以上、残りの5例は1~2日間だけ服用したと答えた。

 今回の結果について、Vales氏らは「アルギン酸の予防的な定期服用により、PPI休薬中の症状を緩和できることが確認された。今回の知見はGERDだけでなく、胃内視鏡検査やHeicobacter pylori検査前のPPI休薬期間中にも役立つかもしれない」と結論している。

木本 治

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