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胆道がん、S-1補助療法でOS延長

根治切除後の標準治療として有望

2023年02月08日 16:51

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 胆道がんは国内で年間約2万2,000人が罹患し、部位別罹患数は10位以下と比較的まれながん種で、死亡者数は第6位の約1万8,000人、5年相対生存率は24.5%と予後が悪い。栃木県立がんセンター腫瘍内科科長の仲地耕平氏ら日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の肝胆膵グループは、根治切除後の胆道がん患者を対象にテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1)補助化学療法の有効性と安全性を検討する第Ⅲ相ランダム化比較試験JCOG1202(ASCOT)を実施。全生存(OS)の有意な延長が示されたとLancet(2023; 401:195-203)に発表した(関連記事「【動画】ASCO-GI 2022:注目演題を解説」「ASCO-GI 2022学会印象記」)。

標準治療で術後化学療法の推奨なし

 胆道がんは根治切除な例であっても再発率が高く、膵がんと並ぶ難治がんとされる。現在、胆道がんの術後の標準治療は経過観察であり、補助療法の確立が長年の課題だった。これまで、胆道がんにおける術後補助化学療法として第Ⅲ相ランダム化比較試験でカペシタビンの有用性が示唆されているが、エビデンスは十分ではなかった。

 仲地氏らは今回、胆道がん根治切除後の標準治療としての経過観察に対するS-1補助療法の優越性をJCOG1202で検討。2013年9月~18年6月に国内38施設で胆道がん患者440例(年齢20~80歳)を登録し、3年間追跡した。主要評価項目はOS、副次評価項目は無再発生存(RFS)、有害事象などであった。

 適格基準は、根治切除済み胆道がんで全身状態(ECOG PS)が0/1、規定の採血データで臓器機能障害がないことなどとした。対象を経過観察群とS-1補助療法を受ける群(S-1群)に1:1で割り付け、S-1群は体表面積に応じて40mg、50mg、60mgのいずれかの用量で1日2回4週間投与し2週間休薬する投与サイクルを4回行った。

グレード3の有害事象は好中球感染と胆道感染

 検討の結果、3年OSは経過観察群の67.6%(95%CI 61.0~73.3%)に対し、S-1群では77.1%(同70.9~82.1%)と優越性が認められた〔調整ハザード比(aHR )0.69、95%CI 0.51~0.94、片側P=0.00080〕。

 3年RFSは、経過観察群の50.9%(95%CI 44.1~57.2%)に対し、S-1群では62.4%(同55.6~68.4%)と延長傾向が見られた(HR 0.80、95%CI 0.61~1.04、両側P=0.088)。S-1群における主なグレード3~4の有害事象は、好中球数の減少が29例(14%)、胆道感染症が15例(7%)に認められた。

 以上を踏まえ、仲地氏らは「胆道がんの標準治療として、根治切除後のS-1補助化学療法の有効性が示された。同様の臨床試験は海外でも行われており、今後は国内外でガイドラインが見直され、胆道がん患者により有効な治療が提供できることが期待される」と展望している。

(植松玲奈)

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