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老け顔と加齢関連疾患リスクが関連

2023年02月13日 17:34

516名の医師が参考になったと回答 

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 オランダ・University Medical Center RotterdamのSelma Mekić氏らは、中高年の顔の見た目から推測される知覚年齢(perceived age;PA)と実年齢の差(ΔPA)が加齢関連疾患のリスクに関連するとBr J Dermatol (2023年1月10オンライン版)に報告した。

評価者27人が顔写真から年齢を推定

 PAと種々の健康指標との関連は既に報告されており、実年齢よりも老けた見た目は死亡リスクの予測因子になりうるとの報告もある。しかし、これまでの研究は対象人数が限られた小規模のものや、特定の疾患との関係に焦点を絞ったものがほとんどである。

 Mekić氏らは今回、現在進行中の人口ベースの大規模前向きコホート研究Rotterdam Studyのデータを用いて検討した。

 対象は40歳以上でオランダ在住の男女2,679例。2010年9月~14年7月に皮膚科検診の一環として、高解像度の写真撮影を実施。撮影時、クリームや化粧品の使用、装飾品の着用などは禁止した。

 幅広い年齢層の男女で構成されたユニリーバ社の従業員をメンバーとする独立評価委員会が設置され、実年齢を知らされていない委員が、参加者の正面写真と側面写真からPAを5歳幅で推定した。1人の写真につき平均27人の評価者が年齢を推定し、中間の値をPAとした。評価者内変動性(intrarater variability)はr=0.65で、これは別の試験で報告された値(r=0.67)と同程度だった。

実年齢-PA(ΔPA)に基づき3群に分類

 実年齢からPAを引いてΔPAを求めた。ΔPAが正の値の場合、対象は実年齢より若く見え、負の値の場合は実年齢より老けて見えることになる。

 対象コホートの年齢中央値は65.8歳(女性54.1%、男性45.9%)で、ΔPAに基き実年齢より若く見える群〔ΔPA中央値5.3(四分位範囲 4.1)、893例〕、実年齢相応に見える群〔同0.1(2.4)、893例〕、実年齢より老けて見える群〔同-5.6(4.7)、893例〕の3群に分けた。

 若く見える群の平均PAは実年齢より5歳ほど低く、男性が61.1%を占めた。喫煙者の割合は他の2群より少なかったが、BMI平均値は最も高かった。

ΔPAが大きいほど加齢関連疾患リスク低く認知機能は高い

 ΔPAを連続変数として、実年齢、性、BMI、喫煙状況、日光曝露を調整した回帰分析でさまざまな加齢関連疾患(ageing-related morbidity)との関連を検証。ΔPAが5歳上昇するごとのオッズ比(OR)または偏回帰係数(B)を求めた。

 解析の結果、ΔPAと慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスク低下との間に有意な関連が認められた(OR 0.85、95%CI 0.77~0.95、P=0.004)

 骨粗鬆症のリスク低下との関連も示されたが(OR 0.76、95%CI 0.62~0.93、P=0.008)、ΔPAと変形性関節症リスクとの関連は見られなかった。

 眼科領域では、ΔPAは白内障のリスク低下との有意な関連が認められたが(OR 0.84、95%CI 0.73~0.97、P=0.014)、加齢黄斑変性や緑内障による視野障害とは関連がなかった。

 ΔPAは 加齢性難聴のリスク低下とも有意な関連を認めたB =-0.76、95%CI -1.35~-0.17、P=0.012)。

 認知機能に関しては、一連の認知機能検査の成績に基づく主成分分析から得られたg-factorを認知機能障害の評価尺度として使用したところ、ΔPAはより高い認知機能と有意な関連を認めた(B =0.07、95%CI 0.04~0.10、P<0.001)。

今後の老化パスウェイ研究への寄与に期待

 今回の結果から、実年齢より若く見えること(younger PA)が、肉体的健康だけでなく認知機能面における健康とも関連することが示唆された。分析に際しては複数の因子を調整したが、Mekić氏らは生活習慣関連因子をはじめ、考慮すべき因子について考察で解説している。

 例えば、PAと顔のしわは皮膚における細胞老化(cell senescence)の亢進および血液細胞におけるテロメア長の短縮に関連するとの報告がある。テロメア長は細胞老化の評価尺度と見なされることが多いことため、同氏らは、細胞老化がPAと全身の老化をつなぐ機序かもしれないと提案している。ただし、各組織の細胞老化を惹起するドライバーについては今後の解明が必要である。

 実年齢よりも老けて見えることが認知機能指標の低下と関連することは、他の研究でも報告されている。今回の研究でもg-factorとPAとの関連が再現されたことは、この関連の堅牢さ(robustness)を示すものである。

 研究の限界としてMekić氏らは検出力が十分でない、残存交絡因子の存在、合流点バイアス(Collider Bias)の可能性を挙げている。

 最後に同氏らは「今回の研究は、PAと老化関連疾患との問題を検討した最大規模のものであり、今後PAはあらゆる臓器における老化パスウェイ研究のモデルに採用される可能性がある」と結んでいる。

木本 治

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