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過呼吸による皮膚温度感覚鈍化の機序

2023年02月17日 17:28

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 ヒトは恐怖や痛み、急激な温度変化などにさらされると過呼吸(過換気)に陥る場合がある。過換気中は皮膚表面の痛み刺激への感受性が低下し皮膚感覚が弱まることが知られているが、詳細な機序は明らかでない。新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科講師の藤本知臣氏らは筑波大学との共同研究で、過換気による皮膚感覚の鈍化には過換気自体でなく過換気による体内の二酸化炭素(CO2)濃度の低下が関連しているとAm J Physiol Regul Integr Comp Physiol2023; 324: R120-R127)に報告した。

熱中症や低体温症発生を助長か

 藤本氏らは、過換気時に体内のCO2が過剰に排出され、低CO2血症を来すケースがある点に着目し、若年成人15人(男性12人、女性3人、平均年齢26±3歳)を対象に前腕部と前額部の皮膚温度感覚を測定。通常呼吸時の測定値をコントロール条件とし、過換気を模した自発的過換気によって体内のCO2濃度を低下させた場合をHH条件、過換気を行いながらCO2を吸入することで体内のCO2濃度を維持した場合をNH条件とした。測定には皮膚温冷覚閾値測定装置を用い、測定部皮膚温と同じ温度に設定したプローブを前腕部または前額部に押し当て、プローブの温度を徐々に上昇または低下させた。被験者は温かさや冷たさを感じた時点でボタンを押し、その時点のプローブの温度を測定。測定開始時の皮膚温度と、温かさや冷たさを感じたときのプローブ温度の差を皮膚温度感覚の指標として用いた。

 検討の結果、皮膚温度感覚は前腕部の温感覚以外のHH条件時に有意に鈍化した一方、NH条件時ではコントロール条件時との差は認められなかった()。過換気による皮膚感覚の鈍化には過換気自体でなく、過換気に伴うCO2濃度の低下が関連していることが示唆された。

図.各条件における皮膚温度感覚

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(新潟医療福祉大学プレスリリースより)

 藤本氏らは「皮膚温度感覚の鈍化は行動性の体温調節反応の減弱につながるため、夏の暑熱下での生活・運動や冬の水難事故など、急激な体温変化によって起こる過換気は暑さや寒さといった感覚を鈍らせ、熱中症や低体温症発生を助長している可能性がある」と指摘。また、「今回の研究では、CO2濃度の低下が皮膚の温度を感じる経路のどの部分に影響を及ぼしているかは明らかにできていない。今後は過換気による体内のCO2濃度の低下と皮膚刺激時の神経活動などを検討することで、詳細な機序の解明につなげたい」と展望している。

(中原将隆)

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