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閉経前乳がん、併用療法に新たな選択肢

パルボシクリブ+タモキシフェンでPFSが有意に延長~PATHWAY試験

2023年02月27日 05:00

264名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 国立がん研究センター中央病院(東京都)などのグループは2月20日、ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行/転移性乳がんの女性患者を対象にパルボシクリブ+タモキシフェン併用群とプラセボ+タモキシフェン併用群を比較する第Ⅲ相国際共同医師主導試験PATHWAYのトップラインデータを公式サイトに掲出。パルボシクリブ+タモキシフェン併用群で主要評価項目の無増悪生存(PFS)が有意に延長したことを発表した。「欧米に比べアジア地域では、乳がん全体に占める閉経前乳がんの割合が多く、今回の結果は治療選択肢が少ないそうした患者に強いインパクトをもたらす」とコメント。詳細な結果は、今後国際学会で発表する予定だという。

タモキシフェンとの併用における有効性や安全性は不明

 パルボシクリブは、細胞周期の調節に関わり、細胞増殖を引き起こすサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6を阻害する経口分子標的薬。CDK4/6を選択的に阻害し細胞周期の進行を停止させることで、腫瘍の増殖を抑制する。

 米国をはじめ世界100カ国以上で承認されているパルボシクリブは、日本では国際共同第Ⅲ相試験PALOMA-2およびPALOMA-3の結果に基づき、「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を適応として、カプセル剤が2017年9月27日に、錠剤が2020年1月23日に承認された。ただし、両試験は閉経後乳がんに用いられる内分泌療法薬レトロゾールまたはフルベストラントとの併用を検討しており、閉経前後のいずれでも使用されるタモキシフェンとの併用におけるパルボシクリブの有効性や安全性は確立されていない。

日本の12施設含む2施設が参加

 今回トップラインデータが開示されたPATHWAYは、ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行/転移性乳がんの女性患者(閉経状態は不問)を対象に、パルボシクリブ+タモキシフェン(±ゴセレリン)併用投与とプラセボ+タモキシフェン(±ゴセレリン)併用投与の有効性を比較する国際共同医師主導試験。国立がん研究センター中央病院の主導の下、アジア地域の23施設〔日本12施設(国立がん研究センター中央病院、国立病院機構北海道がんセンター、千葉県がんセンター、国立がん研究センター東病院、虎の門病院、神奈川県立がんセンター、愛知県がんセンター、国立病院機構大阪医療センター、近畿大学病院、兵庫県立がんセンター、国立病院機構四国がんセンター、国立病院機構九州がんセンター)、韓国6施設、台湾3施設、シンガポール2施設〕が参加。登録患者は184例である。

 解析の結果、プラセボ+タモキシフェン併用群と比べ、パルボシクリブ+タモキシフェン併用群でPFSの有意な延長が示され、主要評価項目を達成したという。

 研究グループは「PATHWAYのポジティブな結果は、パルボシクリブと内分泌療法薬の併用療法における新たなエビデンスとなり、添付文書改訂や薬事承認に向け追い風になるだろう」とコメントしている。

(比企野綾子)

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