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物価・光熱費高騰、大学病院にも影響大

国立大学病院における今年度の実態

2023年03月06日 12:52

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イメージ画像 (横手幸太郎氏・右から3氏目)

 物価・光熱費の高騰は医療機関にも多大な影響を及ぼしている。国立大学病院長会議は3月3日に定例記者会見を開催。同会議会長の横手幸太郎氏(千葉大学病院病院長)は、国立大学病院における今年度(2022年度)の医療材料費・光熱費だけでコロナ前の経常利益額を大幅に上回る実態を明らかにした。

光熱費・医療材料費で330億円の負担増

 国立大学病院における昨年(2022年)の個人防護具(PPE)の調達費総額は、ニトリル手袋が14億円、ガウンが5.2億円、マスクが3.2億円となった。これらPPEなどついて、国立大学病院と取引のある930社中533社が医療材料を含め値上げに踏み切った。横手氏によると、PPEの単価はコロナ前に比べて約1.5~2倍に跳ね上がっているという。

 加えて光熱費の負担増も重くのしかかっている。大学病院はMRI、CT、リニアックなどの医療機器を稼働させていることから、診療スペース以外は節電に努めたものの、光熱費の負担は約124億円増、医療材料費と合わせて330億円増となった。 同氏は「医療機関は、コスト増加を診療報酬に転嫁できない」とし、コロナ前の215億円の利益をはるかに上回る負担増となっている現状を明らかにした。

 今年5月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は感染法上の2類から5類に移行する。しかし同氏は、5月以降も「医療機関には新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を院内に持ち込ませない水際対策や、院内伝播を防ぐ感染対策が求められる」と述べ、5類移行後すぐにコロナ前の診療体制や経営状況に戻すことは困難だと指摘。大学病院として医療を提供するには、財政的支援の継続が必要だと訴えた。

地域医療機能推進機構、東京都立病院機構の3団体で共同調達へ

 当日は、国立大学病院長会議、地域医療機能推進機構(JCHO)、東京都立病院機構の3団体で医療材料・医療機器を安定調達する共同事業を来年度に開始することが発表された。

 2016年に全国の国立大学病院が一丸となって共同調達を行う事業が始まり、各社との交渉により今年度までに延べ19億円ほどのコストを削減し、大学病院の経営改善に寄与した。

 協力体制が拡充することで、横手氏は「共同調達をさらに有効に進めることができる」と展望した。

(田上玲子)

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