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ゾコーバ一般流通へ、1治療で5万円超に

2023年03月09日 13:30

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 厚生労働省は昨日(3月8日)の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル(商品名ゾコーバ)の薬価収載を了承した。今月15日の収載を経て、一般流通される(供給開始時期は厚労省から通知予定)。薬価は125mg 1錠7,407.40円で、1回の治療(5日間服用)当たりの費用は5万1,851.80円となる。ピーク時売上は37万人、192億円と推計された。また保険上の留意事項通知として、同薬の使用に当たり、妊娠の可能性の有無など禁忌事項の確認や、有効性と安全性に関する十分な説明と同意を取得することなどを盛り込んだ。今月14日付で通知され、翌日15日から適用される。

「投与が必要な患者に限り投与すること」

 エンシトレルビルは類似薬効比較方式Ⅰで算定された。比較薬は対象疾患の類似性から、COVID-19の抗ウイルス薬モルヌピラビル(商品名ラゲブリオカプセル200mg)、投与対象患者の類似性から抗インフルエンザ薬バロキサビル(ゾフルーザ錠20mg)の2剤を選定。2剤の一治療薬価の平均値を算出し、新規作用機序であるため有用性加算Ⅱ(加算率5%)を適用して算定した。

 エンシトレルビルの薬価算定に当たっては、2月15日の中医協総会で「保険上の留意事項」および「薬価収載後の価格調整(市場拡大再算定)」について議論することが了承されていた。

 保険上の留意事項では、最新の「COVID-19に対する薬物治療の考え方」(日本感染症学会作成)を踏まえ、「一般に重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができる」とされており、エンシトレルビル投与時の注意点として「高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある者に処方を検討すること」「一般に、重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は慎重に判断すべき」の記載に加え、「エンシトレルビル使用に当たっては十分留意し、投与が必要な患者に限り投与すること」と明記される。

 また、エンシトレルビルはCYP3A阻害作用を有し、併用禁忌薬が36種類と多いため「併用薬剤の投与の確認」に加え、動物実験で胎児に催奇形性が認められたことなどを踏まえ「妊娠の可能性の有無などの禁忌事項について確認する」とし、「投与が適切な患者に限り投与すること」といった留意点が盛り込まれた。

市場拡大算定の特例を導入、"予想販売額の10倍以上かつ3,000億超"

 予測販売額と比べ短期間で市場規模が急拡大した場合は、市場拡大再算定の特例措置を導入する。具体的には、「年間販売額が予測販売額から10倍以上に急拡大」かつ「市場規模が3,000億円超」となった場合に、現行の市場拡大再算定の薬価引き下げの上限値を、現行の50%から3分の2(66.7%)に引き上げる。これはエンシトレルビルに特例的な対応とし、対応後の状況も含め価格調整などの検証を行うとしている。

 なお、現時点でエンシトレルビルは国が買い上げ医療機関に配分していることから、保険適用後に一般流通されると両者が混在し、医療現場に混乱が生じかねない。そのため、同薬の製造販売業者による供給開始時期および取り扱いに関しては、別途通知する予定という。

(小沼紀子)

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