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潰瘍性大腸炎の組織学的評価にAIが有用

2023年04月04日 17:43

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返す再燃寛解型が多く、予後予測が難しい。また、疾患活動性を正確に評価するには大腸組織の組織学的評価が不可欠だが、評価者の技量により評価が分かれるなどの課題がある。こうした中、英・University of BirminghamのMarietta Iacucci氏らは、大腸内視鏡検査で採取した生検標本の評価に活用できる人工知能(AI)診断ツールを開発。高い精度で活動期と寛解期を識別でき、再燃リスクの予測能も確認されたとGastroenterology(2023年3月3日オンライン版)に報告した。

組織学的寛解の達成が治療目標に

 潰瘍性大腸炎の臨床的改善には組織学的寛解が重要であることから、近年では治療目標として組織学的寛解の達成を目指すようになっている。Iacucci氏らは今回、AIを用いたコンピュータ診断支援(CAD)システムを開発。大腸内視鏡検査で採取した生検標本の病理学的評価における有用性について検討した。

 対象は、潰瘍性大腸炎患者273例(平均年齢48.1歳、女性40.7%)から採取し、デジタル化した生検標本535個。適格基準は疾患活動性にかかわらず潰瘍性大腸炎の罹患期間が1年以上の例とし、1年以内に手術を受ける例および大腸内視鏡検査の禁忌例などは除外した。

 Iacucci氏らは、潰瘍性大腸炎の組織学的指標であるPICaSSO Histologic Remission Index (PHRI)、Robarts Histologic Index (RHI)、Nancy Histologic Index (NHI)を用い、組織学的評価を行った。また、118個の生検標本のサブセットを活動期と寛解期を識別するよう畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network;CNN)に学習させ、42個の生検標本を用いてキャリブレーションを行い、375個の生検標本で精度を確認した。

12カ月後の再燃の予測能は病理医と同程度

 解析の結果、組織学的活動性と組織学的寛解の識別におけるCADシステムの感度はPHRI が89%、RHIが94%、NHIが89%で、特異度はそれぞれ85%、76%、79%だった。

 また、内視鏡的評価指標であるUlcerative Colitis Endoscopic Index of Severity(UCEIS)スコアが1以下、PICaSSOスコアが3以下を寛解と定義し、内視鏡的評価におけるCADシステムの精度を検証したところ、それぞれ79%と82%の精度で寛解または活動が予測できた。

 組織学的寛解群と比べた組織学的活動性群における12カ月後の再燃リスク(ハザード比)は、病理医によるPHRIの評価で3.56、CADシステムによるPHRIの評価で4.64と推定され、AIは病理医と同等の精度で再燃リスクを予測できる可能性が示された。

 Iacucci氏は「潰瘍性大腸炎は予後予測が難しい複雑な疾患だが、組織学的評価と内視鏡生体標本に基づくAIモデルを組み合わせることで、迅速かつ正確な診断が可能となる」との見解を示している。

(岬りり子)

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