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重症市中肺炎、ヒドロコルチゾンで死亡リスク低下

フランス・ICU入室患者のRCT

2023年04月06日 16:10

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 市中肺炎は、高所得国においても依然として公衆衛生上の重要な問題である。ステロイド投与は肺炎転帰の改善に有効だが、重症患者の死亡率低下に寄与するか否かは明らかでない。フランス・Université de ToursのPierre-François Dequin氏らは、集中治療室(ICU)に入室した重症市中肺炎患者を対象とした第Ⅲ相多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)により、ステロイド投与が死亡率に及ぼす影響を検討。プラセボ群と比べヒドロコルチゾン投与群では28日までの死亡リスクが5.6%ポイント低下したことなどをN Engl J Med2023年3月21日オンライン版)で報告した(関連記事「重症市中肺炎に全身性ステロイドはありか?」)。

31施設で800例をランダム化

 ステロイドには強力な抗炎症作用と免疫調節作用があり、肺炎患者の臨床的安定化までの期間や入院期間を短縮することがRCTのメタ解析で示されている。しかし、生存転帰を改善するか否かは明らかでない。

 Dequin氏らは、フランスの31施設で重症市中肺炎によりICUに入室した成人患者を、ヒドロコルチゾン群とプラセボ群にランダムに割り付け、両群とも抗菌薬と支持療法を含む標準治療を併用した。ヒドロコルチゾン群は、最初の4日間は全例に200mg/日を静脈内投与し、その後は各患者の臨床的改善度に応じて合計投与期間が8日または14日となるよう振り分け、期間にかかわらず漸減投与した。気管挿管を希望しない(DNI)患者、インフルエンザ肺炎、敗血性ショックの患者は除外した。

 主要評価項目は28日までの死亡率とし、800例をランダム化割り付けした。

挿管率、昇圧薬投与率ともヒドロコルチゾン群で有意に低い

 解析対象は同意撤回例などを除く795例(ヒドロコルチゾン群400例、プラセボ群395例)で、年齢中央値は両群とも67歳、ベースラインの患者背景に両群間で差がなかった。

 28日までに死亡したのは、ヒドロコルチゾン群が25例(6.2%、95%CI 3.9~8.6%)、プラセボ群が47例(11.9%、95%CI 8.7~15.1%)だった。両群間の絶対差は−5.6%ポイント(95%CI −9.6~−1.7%ポイント)で、ヒドロコルチゾン群の死亡リスクが有意に低かった(P=0.006)。

 試験開始時に人工呼吸管理下になかったものの、28日目までに気管内挿管をした患者は、ヒドロコルチゾン群が222例中40例(18.0%)、プラセボ群が220例中65例(29.5%)とヒドロコルチゾン群で有意に少なかった〔ハザード比(HR)0.59、95%CI 0.40~0.86〕。また、試験開始時に昇圧薬を未投与で、28日目までに投与した患者は、ヒドロコルチゾン群が359例中55例(15.3%)、プラセボ群が344例中86例(25.0%)と同様にヒドロコルチゾン群で有意に少なかった(HR 0.59、95%CI 0.43~0.82)。

 ICU内感染率は両群間で同等だった(ヒドロコルチゾン群9.8%、プラセボ群11.1%)。消化管出血は両群ともにまれだった(ヒドロコルチゾン群2.2%、プラセボ群3.3%)。治療開始から1週間のインスリン投与量はヒドロコルチゾン群で多かった(中央値35.5IU/日 vs. 20.5IU/日、差の中央値8.7、四分位範囲4.0~13.8、P>0.001)。

 以上の結果から、Dequin氏らは「ICUで治療を受ける重症市中肺炎患者において、ヒドロコルチゾン投与はプラセボと比べ28日までの死亡リスクを低下させた」と結論している。

(小路浩史)

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