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日本人のBCG誘発ケロイド、9割以上が女性

小児期発症ケロイドに関する最大規模の報告

2023年04月10日 14:50

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 日本医科大学形成外科学教室/米・Stanford University School of Medicineの野一色千景氏らは、日本で最大規模のケロイド診療施設の1つである同大学病院形成外科外来で2014年4月からの1年間に小児期(10歳未満)発症のケロイドと診断された患者131例を対象に、医療記録のチャートレビューによる後ろ向き観察研究を実施。その結果、発症原因はワクチン接種が最も多く、女性における発症頻度は男性の4.2倍で、BCGワクチン接種が原因の症例では9割が女性だったとDermatol Ther2023年3月23日オンライン版)に発表した。

4割弱にケロイド家族歴、5割弱にアレルギー

 ケロイドは比較的よく見られる線維増殖性の皮膚障害で、病態生理は完全には分かっていないが、高血圧や妊娠、女性、局所にかかる機械的な張力、創傷治癒の遷延化などの悪化因子が知られている。野一色氏らによると、10歳未満の小児期に発症するケロイドはこうした成人期に見られる各種の因子が影響を及ぼす前に発症するため、小児期ケロイドの研究を介してケロイド形成のメカニズムに関する理解が深まる可能性があるという。

 そこで同氏らは、2014年4月1日~15年3月31日の1年間に日本医科大学病院形成外科外来を受診しケロイドと診断された1,443例のうち、10歳未満で発症した小児期発症ケロイド患者131例(全て日本人、診断時平均年齢は男性33.0歳、女性36.9歳)の医療記録を後ろ向きに解析した。

 その結果、ケロイドの家族歴を有する割合が38.9%、アレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)の有病率が48.9%といずれも高かった。

 また、全体の80.9%が女性だったが、発症年齢、BMI、現在の喫煙状況、ケロイドの家族歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、アレルギー性疾患の有病率に有意な性差はなかった。

3割以上がBCGワクチン接種部位の上腕に発症

 小児期発症ケロイドの発症原因は、男女とも第1位がワクチン接種(47.5%)で、中でもBCGワクチン接種が最も多かった(39.7%)。ただし、男性に比べて女性はワクチン接種が発症原因だった割合(25.0% vs. 53.1%)、ワクチン接種全体に占めるBCGワクチン接種の割合(57.1% vs. 86.7%)がいずれも高く、BCGワクチン接種によるケロイド発症例の92.9%が女性だった。

 発症原因の第2位は男女とも水痘帯状疱疹ウイルス感染(19.9%:男性 17.9%、女性 20.4%)だった。

 ケロイドの好発部位は、全体の第1位はBCGワクチン接種部位である上腕(34.3%)で、男性では胸部(30.0%)、肩(20.0%)、背部(15.0%)、女性では上腕(41.1%)、胸部(16.3%)、肩(13.2%)の順だった。

 以上を踏まえ、野一色氏らは「小児期発症ケロイド患者では、アレルギー性疾患およびケロイドの家族歴の割合が高かった。また、女性およびBCGワクチン接種が有意な危険因子となる可能性がある」と結論。その理由として、「ケロイドは妊娠後期に悪化し、出産後または閉経後に改善することが知られており、女性ホルモン(エストロゲン)が発症に関与すると考えられる。また、BCGワクチンは皮膚に炎症を引き起こすことにより免疫系を活性化するため、ケロイド形成のリスクが高まる可能性がある」と説明している。

(太田敦子)

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