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乳酸菌果汁、牛乳アレルギーへの効果は?

経口免疫療法に併用

2023年04月11日 16:11

317名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 重症の牛乳アレルギーを持つ小児の治療法として、原因となる物質を少量かつ継続的に食べさせる経口免疫療法が用いられる場合があるが、小麦や卵のアレルギーに比べて効果が得られにくいとされる。一方、近年はアレルギーと腸内環境の関連を示す報告が相次いでおり、これらを踏まえた新たな治療法に期待が高まっている。国立成育医療研究センターアレルギーセンターの山本貴和子氏らは、牛乳アレルギーに対する経口免疫療法に乳酸菌発酵果汁飲料を追加する二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験を実施。その結果をBenef Microbes(2023; 14: 17-29)に発表した(関連記事「牛乳と卵、経口免疫療法の効果が高いのは?」)。

花粉症やアレルギー性鼻炎で改善の報告

 山本氏らは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を通じて、牛乳アレルギーは食物アレルギーの中で2番目に多く、1歳児の約2%に認められることを報告している(World Allergy Organ J 2020; 13: 100479)。これまでの研究では、食物経口免疫療法は自然経過で耐性獲得ができない重症アレルギー児に対し有効性が示されているものの、有害事象が少なくないことから、より安全で効果的な治療法の開発が求められていた。

 そこで同氏らが着目したのが、腸内細菌叢のバランス改善を介して、ヒトに有益な作用をもたらすプロバイオティクスである。近年、食物経口免疫療法の有効性や安全性の向上を目的として、プロバイオティクス摂取の併用が試みられている。中でも乳酸菌は加熱死菌でも免疫を調整し、アレルギー症状を緩和するとの報告があり、加熱殺菌した乳酸菌Lactiplantibacillus plantarum YIT 0132(以下LP0132)でミカン果汁を発酵させたLP0132発酵果汁飲料の臨床試験では、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎症状の改善効果が示されている(Benef Microbes 2016; 7: 649-658)。

 同氏らは今回、1~18歳の重症牛乳アレルギー患者を対象に、牛乳経口免疫療法+LP0132発酵果汁飲料の有効性と安全性を検討。登録時に牛乳経口負荷試験で牛乳アレルギーと診断された61例をプラセボ群とLP0132群に1:1でランダムに割り付けた。両群とも牛乳経口免疫療法に上乗せして、プラセボ群では果汁飲料を、LP0132群ではLP0132発酵果汁飲料を125mL/日24週間摂取した。牛乳の摂取量は、登録時の牛乳経口負荷試験の閾値で決定した。登録時と24週時に血液検査および便細菌叢検査を実施した()。

図. 試験の概要

牛乳アレルギー試験.png

(国立成育医療研究センタープレスリリースより)

閾値改善は得られなかったが、免疫バランスは耐性獲得方向へ

  検討の結果、登録時と比べ24週時の牛乳経口負荷試験の閾値が上昇した割合はプラセボ群で37.9%、LP0132群で41.4%と両群に有意差はなかった。

 また、24週間時の牛乳関連血中特異的IgE抗体価に両群で差は見られなかったものの、βラクトグロブリン特異的IgG4抗体価(高いほど耐性を獲得)の低下は、プラセボ群と比べLP0132群で有意に抑制されていた(P=0.01)。血中のサイトカイン、ケモカイン濃度についてはインターロイキン(IL)-5、IL-9はプラセボ群と比べLP0132群で有意に低下した。さらに腸内細菌叢を解析したところ、多様性はLP0132群で増加しており、食物アレルギー患者より健常者に多いとされるLachnospiraceaeが特に増加していた。

 安全性評価の結果は、有害事象のほとんどは牛乳経口免疫療法に伴う口腔刺激症状や皮膚症状など軽度のもので、重篤な有害事象2例は研究と関係のない牛乳誤嚥によるアナフィラキシーだった。

 これまでの研究では、プロバイオティクスを用いた牛乳経口免疫療法について、6カ月の介入を行った2件で治療効果が得られなかったとするメタ解析がある一方、別のメタ解析では2年以上の長期介入研究で改善効果が得られたと報告されている。山本氏らは「今回は探索的な研究であり、24周と短期間での評価だったことを考慮する必要がある」と指摘。

 その上で、同氏らは「重症牛乳アレルギーに対する牛乳経口免疫療法へのLP0132発酵果汁飲料の上乗せは、24週後の牛乳アレルギーの閾値改善効果は得られなかった。ただし、腸内環境の変化により免疫バランスは潜在的にアレルギー体質を改善し、耐性獲得の方向へとシフトした可能性が考えられる」と結論している。

 (植松玲奈)

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