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2型糖尿病への睡眠薬処方、8割は診断なし

フィンランドのプライマリケア研究

2023年04月13日 10:25

243名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 フィンランド・Rovaniemi Health Center/University of OuluのEveliina Heikkala氏らは、2011~19年に同国のプライマリケア施設を受診した2型糖尿病患者4,508例の医療記録を用い、睡眠薬の処方状況を検討。その結果、期間中に睡眠薬を2回以上、反復処方されていた2型糖尿病患者は全体の28.1%に上ったが、そのうち睡眠障害と診断された患者は22.0%にすぎなかったとBMC Prim Care2023; 24: 90)に発表した。

ベンゾジアゼピン系が最も高頻度に反復処方

 解析対象は、2011~19年の研究期間中にフィンランドのプライマリケア施設を受診し、睡眠薬の処方に関するデータが得られた2型糖尿病患者4,508例(平均年齢69.9歳、女性45.8%)。研究期間中の2回以上の処方を反復処方と定義した。

 対象の医療記録から抽出したデータを解析した結果、全体の28.1%が睡眠薬の反復処方を受けていた。反復処方群は非反復処方群に比べて高齢(73.4歳 vs. 68.5歳)で、女性(53.9% vs. 42.6%)、うつ病(20.1% vs. 7.2%)の割合が有意に多かった(全てP<0.001)。

 反復処方の頻度が最も高かった睡眠薬はベンゾジアゼピン系薬(56.9%)、次いでメラトニン(44.4%)、ミルタザピン(35.8%)の順だった。Heikkala氏らは「ベンゾジアゼピン系薬は副作用の点から短期使用のみ推奨されており、反復処方頻度が最も高かったというのは憂慮すべき結果」と懸念を示している。

 なお、フィンランドではメラトニン製剤が一般用医薬品として入手可能であるため、実際に睡眠薬を反復使用している患者の割合は、今回の医療記録(処方箋)に基づく算出結果より多い可能性があるという。

糖尿病患者の睡眠時無呼吸は過小診断の可能性

 一方、睡眠時無呼吸以外の睡眠障害と診断された患者の割合は、全体では12.2%、反復処方群では22.0%にすぎなかった。この結果について、Heikkala氏らは「睡眠薬の長期使用は転倒や骨折、認知機能障害、自殺企図などのリスク上昇を伴う。また、メラトニンは糖代謝に影響する可能性もある」と指摘。「プライマリケア医が2型糖尿病患者の睡眠障害を治療する際には、睡眠薬の必要性を慎重に評価すべき」と結論した。

 また、2型糖尿病患者における合併率が高いと認識されている睡眠時無呼吸の割合も、全体で12.5%、反復処方群で23.4%と低かった。この点について、同氏らは「意外な結果である一方、プライマリケアにおいて2型糖尿病患者の睡眠時無呼吸が過小診断されているという報告と一致する」と述べ、「プライマリケア医は、2型糖尿病患者を治療する際に睡眠時無呼吸の症状にもっと注意し、定期的にスクリーニングを行うべき」と付言している。

(太田敦子)

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