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更年期症状の新規治療薬に熱い期待

アステラス製薬・fezolinetant

2023年05月23日 11:11

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 ホットフラッシュや寝汗など閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状(Vasomotor Symptoms;VMS)に対する1日1回の経口非ホルモン薬fezolinetant(製品名VEOZAH)が、5月12日に米国で承認された。同薬を開発したアステラス製薬は5月19日に、報道関係者や投資家向けにオンライン説明会を開催。同社US Commercial PresidentのMark Reisenauer氏は「QOLに大きな影響を及ぼすVMSに対し、非ホルモン療法という新たな治療選択肢を提供できる。fezolinetantはVMS治療のゲームチェンジャーになるだろう」と述べた。また、同社社長/最高経営責任者(CEO)の岡村直樹氏は「ピーク時売り上げとして5,000億円を見込んでいる」とし、高い成長性に期待を示した。

最大80%の女性がVMSを経験

 VMSは閉経に伴い生じる一般的な症状。最大80%の女性が閉経への移行期にVMSを経験し、中には10年以上続く人もいる。米国では、中等度から重度のVMS患者数が約1,100万人とされ、医療者の関心は高い。

 しかし、アステラス製薬がVMSの患者および医療者を対象に行った米国での市場調査によると、医学的または個人的な理由によりホルモン療法を受けていない患者は60%を超えていたという。

 こうしたアンメットニーズに応えるべく、同社はVMSの治療薬としてfezolinetantを開発した。

初の非ホルモン薬、BRIGHT SKYプログラムで有効性と安全性が示す

 fezolinetantは、閉経に伴う中等度から重度のVMSを適応とする非ホルモン性ニューロキニン(NK)3受容体拮抗薬。体温調節中枢である視床下部から分泌されるNKBを阻害して、ニューロン活動を抑えることでVMSを緩和する。1日1回45mgの経口投与で、薬価は30日間で550米ドルだ。

 有効性と安全性は、中等度から重度のVMSを有する女性患者3,000例以上を対象に米国、カナダ、欧州で行った第Ⅲ相BRIGHT SKYプログラムで示された。同プログラムは、第Ⅲ相ピボタル試験のSKYLIGHT 1およびSKYLIGHT 2と、長期(52週間)安全性を評価するSKYLIGHT 4から成る。

 SKYLIGHT 1およびSKYLIGHT 2の対象は1,000例以上で、12週間の二重盲検プラセボ対照期間に続き、40週間の継続投与期間を設けた。SKYLIGHT 4は1,800例以上を対象に実施された。

 その結果、プラセボ群と比べfezolinetant 30mg群および45mg群では、4週時、12週時のいずれにおいても、主要評価項目とした中等度から重度VMSの発現頻度および重症度のベースラインからの変化量を有意に改善させた。これらの改善は、投与早期(1週時)から認められ、52週間維持された。また、投与52週までに新たな安全性プロファイルは報告されず、長期の安全性および忍容性が示された。

肝障害の評価が必要

 fezolinetant投与を開始する際は、ベースライン時に血液検査で肝障害を評価することが定められており、それ以降も3、6、9カ月時のフォローアップが必要だ。Reisenauer氏は「中年女性に脂質異常症治療薬のアトルバスタチンやロバスタチンを投与する際は、定期的な血液検査が行われている。よって、fezolinetantの売り上げへの影響は限定的なものになると考えている」と述べた。その上で、「肝障害を評価することで、実臨床における安全性が担保されるはず」との考えを示した。

 fezolinetantにかける同社の期待値は高い。同氏は「fezolinetantは、多くのVMS患者のアンメットニーズに応えることができる。中等度から重度のVMSに対する治療選択肢として重要な位置付けになると確信している」と展望した。

 なお同薬は現在、欧州およびオーストラリアで承認申請中。日本では承認申請に至っていない。

(比企野綾子)

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