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マメ科植物由来のシチシンに高い禁煙効果

2023年07月25日 18:05

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 マメ科植物由来の毒性アルカロイドであるシチシンは、欧州の一部で禁煙治療に使用されているが、米国を含め他の地域では承認されていない。米・Massachusetts General HospitalのNancy A. Rigotti氏らは、禁煙目的でのシチシン使用の最適な投与期間と投与量を特定するランダム化比較試験(RCT)を実施。6週および12週の投与と行動支援の併用は、禁煙に有効で忍容性は良好だったとJAMA2023; 330: 152-160)で報告。ニコチン依存症治療の新たな選択肢として期待できるという。

薬物動態に基づき3mgを1日3回投与で検討

 シチシンはcytisiniclineとも呼ばれ、バレニクリンと同じくα4β2ニコチン受容体に選択的に結合する。シチシンを禁煙治療に使用しているのは中欧・東欧諸国のみで、メーカーは1.5mgを1日6回から開始し、25日間(1クール)かけて漸減することを推奨しているが、Rigotti氏らは、薬物動態と過去の試験データに照らしてこの設定を疑問視。新たな投与スケジュールでシチシンによる禁煙治療の有効性と忍容性を検討するため、二重盲検プラセボ対照RCT ORCA-2を実施した。

 対象は、毎日喫煙しており禁煙を希望する成人810例(平均年齢52.5歳、女性54.6%、1日平均喫煙数19.4本)。米国の17施設で2020年10月~21年12月に、シチシン3mgを1日3回12週投与(270例)、同用量で6週投与後プラセボを6週投与(269例)、プラセボ12週投与(271例)―の3群にランダムに割り付け、24週間追跡した。全例で受診時に禁煙を支援するカウンセリングを併用した。

 主要評価項目は、シチシン治療期間の最後の4週間(6週投与群では3~6週目、12週投与群では9~12週目)における禁煙継続率とし、副次評価項目は、24週間の追跡終了までの禁煙継続率とした。呼気中一酸化炭素濃度10ppm未満を禁煙継続と定義した。

6週・12週治療群とも高い禁煙継続率と忍容性

 618例(76.3%)が試験を完遂した。

 3~6週目の禁煙継続率は、プラセボ群の4.4%に対しシチシン6週投与群では25.3%と有意に高かった〔オッズ比(OR)8.0、95%CI 3.9~16.3、P<0.001〕。3~24週目はそれぞれ2.6%、8.9%で、シチシン群では治療期間終了後も高い禁煙率が維持されていた(同3.7、1.5~10.2、P=0.002)。

 シチシン12週投与では、さらに優れた禁煙継続効果が得られた。9~12週目は、プラセボ群の7.0%に対し12週投与群では32.6%(OR 6.3、95%CI 3.7~11.6、P<0.001)、9~24週目はそれぞれ4.8%、21.1%(同5.3、2.8~11.1、P<0.001)だった。

 主な有害事象(発生率5%超)は、吐き気、異常な夢、不眠症で、発生率はいずれの群も10%未満だった。16例(2.9%)が副作用によりシチシンを中止した。薬剤関連の重篤な副作用は発生しなかった。

 以上より、Rigotti氏らは「シチシン6週および12週の投与と行動支援の併用は、禁煙に有効で忍容性も良好だった」と結論。シチシンとバレニクリンを直接比較した過去の試験では、シチシンで有害事象が有意に少ないことが示されており、同氏らは「ニコチン依存症治療の新たな選択肢となりうる」と期待を寄せている。

(小路浩史)

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