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菜食でCVD高リスク者のLDL-CとHbA1cが改善

2023年08月09日 17:50

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 オーストラリア・University of SydneyのTian Wang氏らは、心血管疾患(CVD)患者または高リスク者を対象に菜食中心の食事パターンと心血管代謝危険因子との関連を検討したランダム化比較試験(RCT)20件のシステマチックレビューおよびメタ解析を実施。その結果、菜食はCVD患者または高リスク者において、有意な体重減少およびLDLコレステロール(LDL-C)とHbA1cの改善と関連していたとJAMA Netw Open2023; 6: e2325658)に報告した。

菜食とLDL-C、HbA1c、血圧、体重の関連を評価

 菜食は、一般集団において心血管代謝リスクを改善することが知られている。しかし、CVD高リスク者に対する効果についてはまだ結論が出ていない。

 そこでWang氏らは、CVD患者または高リスク者において、菜食とLDL-C、HbA1c、収縮期血圧(SBP)、体重などの主要な心代謝危険因子との関連を検討するため、システマチックレビューおよびメタ解析を実施した。

 2021年7月31日までにEMBASE、MEDLINE、CINAHL、CENTRAL(Cochrane Central Register of Controlled Trials)に収載された文献から、CVD患者または高リスク者の成人を対象に菜食を提供し、LDL-C、HbA1c、SBPを測定したRCTを検索。解析対象として、RCT 20件1,878例(平均年齢28~64歳)を組み入れた。

 独立したレビュアーがデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。LDL-C、HbA1c、SBP、体重の変化の評価にはランダム効果モデルを用いた。総合的なエビデンスの確実性は、Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluation (GRADE)ツールを用いて評価した。

 主要評価項目は介入前後におけるLDL-C、HbA1c、SBPの変化量の平均差、副次評価項目は体重およびエネルギー摂取量の平均差とした。

菜食でLDL-Cは6.6mg/dL、HbA1cは0.24%低下

 RCT 20件の平均介入期間は25.4週間(範囲2~24カ月)。研究対象はCVD患者が4件、2型糖尿病患者が7件、2つ以上のCVD危険因子を有する者が9件だった。菜食のうち、最も多かったのは完全菜食(ビーガン食)、次いで乳卵菜食(lact-ovo-vegetarian diet)、乳菜食(lact-vegetarian diet)だった。

 検討の結果、対照食摂取群と比べ平均6カ月間菜食を摂取した群ではLDL-Cが有意に低下し(平均差-6.6mg/dL、95%CI -3.1~-10.1mg/dL、エビデンスの確実性:中等度)、標準治療を上回る効果を示した。最も低下幅が大きかったのはCVD高リスク者だった(同-9.1mg/dL、-5.5~-12.7mg/dL、高度)。ただし、研究間に有意な異質性が認められた(Q=20,788.2、P=0.04)

 対照食摂取群と比べ菜食摂取群ではHbA1cが有意に低下した(平均差-0.24%、95%CI -0.07~-0.40%、エビデンスの確実性:中等度)。有意な研究間の異質性は認められず(Q=9.22、P=0.15)、2型糖尿病患者で特に低下幅が大きかった(同-0.36%、-0.18~-0.53%、中等度)。

 対照食摂取群と比べ菜食摂取群では有意に体重が減少したが(平均差-3.4kg、95%CI -2.0~-4.9kg、エビデンスの確実性:低度)、研究間の異質性は有意に高かった(Q=2,795.31、df=15、P<0.001)。最も体重減少幅が大きかったのはCVD高リスク者で(同-3.6kg、-1.4~-5.8kg、極めて低度)、2型糖尿病患者(同-2.8kg、-1.4~-4.2kg、低度)が続いた。

 一方、対照食摂取群と比べ菜食摂取群でSBPはわずかに低下したものの(平均差-0.1mmHg、95%CI -2.8~2.6mmHg、エビデンスの確実性:低度)、有意差は示されなかった。

 今回の結果について、Wang氏らは「CVD患者および高リスク者が菜食を導入することで、さまざまな心代謝性疾患の予防や治療において、薬物療法の効果を増強する可能性が示唆された」と考察している。

(今手麻衣)

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