脂肪性肝疾患診療の新展開(Novel stages in the treatment of steatotic liver disease)

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

International Session(Symposium)3(日本消化器病学会・日本肝臓学会・日本消化器外科学会・日本消化器がん検診学会)

11月1日(金) 9:30~11:30 第4会場(ポートピアホテル南館 ポートピアホール)

[司会]

吉治 仁志 (Hitoshi Yoshiji) 氏

奈良県立医大・消化器・代謝内科(Department of Gastroenterology, Nara Medical University)

川口 巧 (Takumi Kawaguchi) 氏

久留米大・消化器内科(Division of Gastroenterology, Department of Medicine, Kurume University School of Medicine)

[Discussant]

Vincent Wong 氏

The Chinese University of Hong Kong

[演者]

Hideki Fujii 氏

Department of Hepatology, Graduate School of Medicine, Osaka Metropolitan University

Nobuharu Tamaki 氏

Department of Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital

Eiji Kakazu 氏

Department of Liver Diseases, The Research Center for Hepatitis and Immunology, National Center for Global Health and Medicine

Maiko Nagaoka 氏

Health Care Center, Kumamoto University

Hirono Owa 氏

Department of Gastroenterology and Hepatology, Mie University

Kenji Fukumoto 氏

Department of Gastroenterology and Hepatology, Osaka University Graduate School of Medicine

Kosuke Kaji 氏

Department of Gastroenterology, Nara Medical University

Arunkumar Krishnan 氏

Johns Hopkins University

 脂肪性肝疾患(SLD)の概念は大きく変わり、SLDという包括的用語の下にさまざまな生活習慣病が入るようになった。今年(2024年)8月には、Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease(MASLD)の日本語名が「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」に、Metabolic Dysfunction Associated Steatohepatitis(MASH)が「代謝機能障害関連脂肪肝炎」に決定。本セッションに関して、司会のHitoshi Yoshiji氏は「昨年行われた肝硬変の成因に関する全国調査では、ウイルス性が減り、生活習慣に基づくSLDが非常に増えていた。今後の日常診療において重要になることから、非常に注目度が高い」と述べる。

ますます重要になる脂肪性肝疾患、最新の基礎・臨床研究8演題

 最初のHideki Fujii氏の発表では、日本人MASH患者において、糖尿病と高血圧が病態の進行に重要であることが示される。続いてNobuharu Tamaki氏は、対象をMASLD、代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)、アルコール関連肝疾患(ALD)に分け、肝疾患関連イベントや心血管イベントの発生頻度などを報告する。

 Eiji Kakazu氏は、MASLD患者における血中遊離アミノ酸(FAA)の変化と病態との関連を検討した、治療法の開発につながりうる研究結果を報告。Maiko Nagaoka氏は、住民コホートを用い、脂肪肝と脳MRIの記憶領域の変化との関連について発表する。Yoshiji氏は「脂肪肝は単に肝臓の病態だけでなく、全身的な病態の一環として捉える必要があるということで注目される」と述べる。

 Hirono Owa氏は、米国で承認され、MASHの肝線維化を抑制する選択的甲状腺ホルモン受容体β作動薬resmetiromについて、効果が期待できる患者を明らかにするためのトランスクリプトーム解析の結果を報告する。

 Kenji Fukumoto氏は、肝臓の微小環境におけるマクロファージのオートファジーに着目し、MASHの進行メカニズムを検討した結果を発表。Kosuke Kaji氏は、ミトコンドリア保護作用などを有する糖尿病治療薬イメグリミンがMASHにも有用である可能性を報告する。これらの基礎研究に関して、Yoshiji氏は「将来の治療法開発につながる可能性のある報告」と期待する。

 海外からの発表としてArunkumar Krishnan氏は、通常の内科的治療で減量が見られず、肥満手術を施行した肥満症、MASLD、2型糖尿病の患者で、心血管イベントリスクが大きく減少したことを報告。Yoshiji氏は「特に内科医にとって、どのような患者を外科にコンサルトすべきかなどの参考になる発表」と述べる。

コロナ下で患者が増加、現状の整理と新知見の獲得を

 本セッションは、脂肪肝によるMASLD、アルコールによるALD、その中間のMetALDなどに関する現状を整理し、新たな知見を得る貴重な機会となる。Yoshiji氏は、コロナ下でこれらの患者が増加したことに言及し、「実臨床および研究において非常に有用なセッションになる。ぜひ参加してほしい」と呼びかけた。

    

※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。

第67回日本消化器病学会大会

[会長]上野 義之 
山形大学 内科学第二(消化器内科学)

第110回日本消化器内視鏡学会総会

[会長]田中 聖人 
京都第二赤十字病院

第29回日本肝臓学会大会

[会長]加藤 直也 
千葉大学大学院 消化器内科学

第23回日本消化器外科学会大会 

[会長]瀧口 修司 
名古屋市立大学大学院 消化器外科学

第63回日本消化器がん検診学会大会

[会長]岡庭 信司 
飯田市立病院 消化器内科

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