さあ,今夜はどこで飲もうか
アルコールは量と共に質も大事?
北里研究所病院糖尿病センターセンター長 山田悟
2015年11月16日 10:43
プッシュ通知を受取る
研究の背景:飲酒は三大変更可能生活習慣の1つ
このたび秋の褒章が発令され,私が北里研究所病院に赴任した当時の北里研究所長である大村智先生(本年のノーベル賞受賞者)が文化勲章に選ばれた。同時に黄綬褒章に選ばれた「竹鶴酒造」会長の竹鶴壽夫氏は,NHK朝の連続テレビドラマ小説「マッサン」のモデル竹鶴政孝氏の家系だそうである。飲酒は洋の東西を問わず,洗練された食文化の代表である。
一方,世界保健機関(WHO)によると,飲酒は世界の中で死亡率や疾病に関与する三大変更可能生活習慣の1つらしい。そして,飲酒と疾病との関係は複雑であり,昔から死亡率についてはJ-カーブ現象(少量の飲酒では死亡率が低下し,多量になると死亡率が上昇するという現象)が知られていた(Ann Intern Med 1992; 116: 881-887)。ただし最近では,発がんについてはアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子多型により大きな影響は受けつつも,遺伝子多型によらず用量依存性がある(Carcinogenesis 2002; 23: 1851-1859)といった結果も出ているらしい。
そして,このたび,飲酒の影響は豊かな国と貧しい国とで異なるという論文がLancet(2015年9月16日オンライン版)に報告された。読者の先生方の今日からの晩酌の仕方,これからの忘年会でのお店の選び方にも影響があるかもしれず,ご紹介したい。
…この続きを読むには、ログインまたは会員登録をしてください