薬剤師のための皮膚科処方箋/ヒルドイドソフトの単純塗布

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎

処方箋からわかることは・・・?

疾患:乾燥性皮膚病変(皮脂欠乏症、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎など)

処方意図:使用感のよいクリーム剤で乾燥病変を治したい

乾燥性皮膚病変の現れた腕

ヒルドイドソフトの要点

薬剤:ヒルドイドソフト軟膏0.3% 一般名:ヘパリン類似物質

  • 保湿成分(ヘパリノイド)が角層の水分保持能を高める
  • 軟膏と表示されているが、基剤は油性ではなく、油中水型(W/O)の乳剤性クリーム
  • しっとりとして伸びがよく、肌になじみやすい
  • 血行改善作用をあわせもつので、しもやけにも処方される
  • [同等品] ヒルドイドクリーム0.3%、ヒルドイドローション0.3%、ビーソフテンクリーム0.3%、ビーソフテンローション0.3%

用法

  • 塗布回数は、1日1~数回
  • 保湿剤の塗布は入浴後がベスト

塗布部位

  • 身体のどの部位に用いても構わない
  • 乾燥病変に用いられる
  • ハンドクリームとして用いてもよい
  • びらん・湿潤病変には適さない

患者さんにこうやって伝えよう!

保湿剤としてヒルドイドソフトを用いる場合

  • 乾燥肌にやさしく延ばしながら塗ってください
  • きつく擦り込む必要はありません
  • しっとり感が得られるくらいが適量です
  • 1日2回塗ると、より効果的です
  • 掻き傷があるとしみることがあります

Dr.Dannoのコレは覚えておきたい!

外用剤の成り立ち ―主剤―
外用剤は主剤と、主剤を溶かしこむ基剤から成り立ちます。主剤の役割は、保湿作用、止痒作用、抗炎症作用などがあり、基剤は主剤の作用発揮に大きく関わっています。
処方箋薬としての保湿剤は意外と少なく、尿素とヘパリノイドくらいです。

主剤の種類

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※レチノイン酸受容体に結合し、遺伝子の転写促進化を誘導。表皮角化細胞の分化を抑制。

前回の「白色ワセリンの単純塗布」はこちら

次回の「mediumランクの ステロイド外用薬の単純塗布」はこちら

[PharmaTribune 2012年2月号掲載]

監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。
【略歴】
1975 年 京都大学医学部卒業
1977 年 カリフォルニア大学留学
1984 年 京都大学医学部皮膚科講師
1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長
1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授
2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院

皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・

ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版
著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)
B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2
http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html

保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。

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