薬剤師のための皮膚科処方箋/ステロイド外用薬のランク付けと選択基準 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎 (編注)プロパデルム®軟膏0.025% (一般名:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)は、2015年8月に製造販売中止となっている。 処方箋からわかることは...? 疾患 かゆみを伴う中等度の炎症性病変病変の部位から、アトピー性皮膚炎、"あせも"の湿疹化などが考えられる 処方意図 ステロイドで皮膚炎とかゆみを早く治したい中等症なのでstrongランクを選択 プロパデルム®軟膏の要点 薬剤:プロパデルム®軟膏0.025% 一般名:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル strongランクのステロイド外用薬strongランクは中等度の炎症性皮膚疾患に対して広い適応がある[同等品]エクラー®、ボアラ®、メサデルム®、リンデロン®-V(VG)など 用法 1日1~2回とは、症状の強い時は2回、症状の軽い時は1回という意味で、ある程度患者に委ねた指示である1回なら夜(入浴後)、2回なら朝と夜に塗布が一般的である 塗布部位 頸部、肘窩・膝窩、陰部などの皮膚の薄い部位にはstrongランク以下のステロイドが用いられる顔面の頑固な病変にも短期間に限って処方されることがある 患者さんにこうやって伝えよう! 中等度の強さのステロイドです症状とかゆみの強さに合わせて、1日1~2回、患部に薄く塗ってください塗る部位・使用期間は、必ず医師の指示に従ってください Dr.Dannoのコレは覚えておきたい! ステロイド外用薬に関する知識を整理しましょう 種類 治療効果の強さによってstrongest、very strong、strong、medium、weakの5ランクに分類されます 選択基準 症状の重症度による →重症・・・strongest~very strong→中等症・・・very strong~strong→軽症・・・medium~weak治療目的による →急性病変の早期改善・・・強めのステロイド→慢性病変のコントロール・・・弱めのステロイド 漸減(テーパリング)●症状がよくなってもすぐにステロイドを中止するのは禁物です●段階的に漸減(テーパリング)していくのがコツです→A:ランクを段階的に下げていく方法→B:ランクはそのままで塗布回数を減らしていく方法 ランク別で見た処方の目的と製品例 製品のランクはアトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008. 厚生労働科学研究. 2008.をもとに区分 C o l u m n 不適切な塗布指導 ・・・" よくなったらやめてください""ステロイドは強い薬なので、よくなったらやめてください"という塗布指導は不適切です。どんな状態になったらやめてよいか、はっきりしないからです。 見た目の状態やかゆみが軽快しても皮膚炎症が完全に消えたわけではありません。この段階でステロイドを中止すると、すぐに炎症がぶりかえします。ステロイドを塗ったり、やめたり、自己判断で繰り返すうちに、症状が遷延化し、難治性へと移行するのです。"ステロイド剤は医師の指導を受けながら正しく使ってください"と指導するのがよいでしょう。 前回の「mediumランクのステロイド外用薬の単純塗布」はこちら 次回の「ステロイド外用薬の塗布方法」はこちら [PharmaTribune 2012年5月号掲載] 監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。【略歴】1975 年 京都大学医学部卒業1977 年 カリフォルニア大学留学1984 年 京都大学医学部皮膚科講師1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院 皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・ ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html 保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×