薬剤師のための皮膚科処方箋/ステロイド外用薬の塗布方法
研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎
処方箋からわかることは...?
疾患
- 強いかゆみを伴う高度~中等度の炎症性病変
処方意図
- 強めのステロイドで、症状の早期改善をはかりたい
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アンテベート® 軟膏0.05%の要点
薬剤:アンテベート® 軟膏0.05% 一般名:ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
- very strongランクのステロイド外用薬
- very strongランクは高度〜中等度の炎症性皮膚疾患に対して広い適応がある
- [同等品] マイザー®、リンデロン®-DP、ネリゾナ®、フルメタ®
用法
- 症状の程度によって、1日2〜1回
塗布部位
- very strongランクは皮膚の薄い部位(顔面、前頸部、陰部)には原則として用いられない
その他のポイント
- 「 ひかえめに」とは、"強い薬なので頻繁に塗りすぎないように" というニュアンスであり、患者さんに「ひかえめに」とは伝えてはいけない
患者さんにこうやって伝えよう!
- 強めのステロイドです
- 炎症(皮膚炎)とかゆみを早く抑えます
- 少量を指先に取り、患部にやさしく塗り込んでください
- 塗る回数・塗る部位、使用期間は、必ず医師の指示に従ってください
Dr.Dannoのコレは覚えておきたい!
ステロイドの塗り方
1.塗布方法
- ちょこっとつけるだけではなく、やさしく丁寧にのばすように塗ってください
- 強く擦り込んではいけません
- できるだけ病変部(発疹部)からはみださないように塗ります
2.塗布量
- 皮膚がしっとりするくらいが適量です
- べとつくのは塗りすぎです
- 塗布量の目安の1つとして、FTU法が提唱されています
FTU法
- 指先から第一関節まで押し出した量を 1FTU(1 finger-tip unit)といいます(約0.5g)。 ローションでは、一円玉大の大きさが0.5gに相当します
- 1FTUの量が、およそ手のひら2つ分の広さを塗る適量とされています
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塗布の指導方法
今回は、あえて不適切なコメントが記載された処方箋を紹介しました。例示した処方箋には"ひかえめに"と記載されていますが、このような表現は、医師も薬剤師も使うべきではありません。
- "ひかえめに"とは、塗る量を少なくするのか、1日の塗布回数を少なくするのか、塗布する日を少なくするのか、良くなったら塗るのをやめるのか、はっきりしない表現だからです
- もし処方箋に「ひかえめに」と書かれていたとしても、記載通りに「ひかえめに」とあいまいな表現で患者さんに伝えてはいけません
- 薬局では、医師の指示を患者さんから聞き取り確認したうえで、「医師の指示通り塗布してください」と、医師の指導を念押しする方法もありますが、疑義照会する選択肢もあります
- 医師に疑義照会するときは、「ひかえめにとはどういう意味ですか」と聞くよりも、「良くなったら塗る回数を減らすよう指導すればよいでしょうか」と訊ねるほうが丁寧だと思います。左頁の処方箋では、塗布回数を減らす意図で「ひかえめに」と記載しています。すなわち、「最初は2回、よくなってきたら1回塗布で結構です」という意味です。疑義照会する際の参考にしてください。

前回の「ステロイド外用薬のランク付けと選択基準」はこちら
次回の「ステロイド外用薬の副作用を心配する患者への対応」はこちら
[PharmaTribune 2012年6月号掲載]

監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。
【略歴】
1975 年 京都大学医学部卒業
1977 年 カリフォルニア大学留学
1984 年 京都大学医学部皮膚科講師
1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長
1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授
2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院
皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・
ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版
著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)
B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2
http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html

保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。
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