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ドクターズアイ 山田悟(糖尿病) ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)

「1型糖尿病を細胞移植で治す」への期待

北里研究所病院糖尿病センターセンター長 山田悟

 2016年04月05日 11:42
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研究の背景:いかに免疫反応から逃れるかがβ細胞正着の鍵

 京都大学・山中伸弥教授のノーベル賞受賞以降,人工多能性幹(iPS)細胞からβ細胞をつくり,それを移植することで1型糖尿病を治すことはできないだろうかと,私自身も夢想したし,多くの1型糖尿病患者からも聞かれる。

 確かにそうした明るい未来を期待したいところではあるが,よく考えてみると,自身の抗原をそのまま持つiPS細胞からβ細胞をつくっても,おそらく自己免疫から逃れることはできず,破壊されてしまうであろう。また,第三者や他の動物種の細胞からβ細胞を作っても,やはり通常の免疫反応から逃れることはできず,破壊されてしまうであろう。

 実際,同種膵島移植では,短期には成績良好(1年後のインスリン離脱率80%)なものの,長期成績は不良(5年後のインスリン離脱率7.5%)である(Diabetes 2005; 54: 2060-2069)。β細胞を移植し,生涯にわたって生着させるには,いかに免疫反応から逃れるかが重要なのである。

 このたび,米国のハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)のグループから,免疫抑制薬なしに免疫反応から逃れてβ細胞を長期に生着させることに成功したというマウスでの研究結果がNat Med2016; 22: 306-311)に報告された。これまで,モデルマウスでの1型糖尿病治癒に喜んでは(Proc Natl Acad Sci USA 1994; 91: 123-127),ヒトでの結果に落胆してきた(N Engl J Med 2002; 346: 1692-1698N Engl J Med 2005; 352: 2598-2608)というのが,1型糖尿病研究の歴史ではあるが,期待感をもってご紹介したい。

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