手術不適応例に対するバルーン肺動脈拡張術で左心機能・肺動脈内血流が改善
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は器質化血栓により広範囲の肺動脈が慢性的に狭窄・閉塞し肺高血圧症を呈する疾患で、血栓内膜摘除術(PEA)により根治可能だが、末梢型などの手術不適応例では右心不全が進行するため予後不良となる。同症に対しバルーン肺動脈拡張術(BPA)が有効とされるが、BPAが左心機能・肺動脈内血流に与える影響は明らかでない。東北大学循環器内科の佐藤遥氏らは、手術不適応のCTEPHに対しBPAが施行された患者連続30例を後ろ向きに検討した結果、BPAはCTEPH患者の右心機能だけでなく、左心機能と肺動脈血流を改善させたとCirc J(2016; 80: 1470-1477)に報告。心臓MRI(CMR)各指標の解析から、BPA後の左心機能の改善は、右室の収縮能が改善し、右室による圧排が解除された結果と考えられるという。
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研究者の横顔
東北大学循環器内科 佐藤 遥氏
佐藤氏は、2014年に東北大学循環器内科に入局、現在は同大学大学院循環器内科学(教授=下川宏明氏)の3年生。同大学病院放射線診断科でも指導を受け、呼吸器疾患に伴う肺高血圧症や肺動脈内血流について画像診断の観点から検討している。
佐藤氏はBPAに関しては、肺動脈内をバルーン拡張するという発想に驚かされたが、CMRシネ画像上で収縮能の改善を見て感心した。その後、右室だけでなく左室の動きも改善しているように見えたが、同科の指導医も同様の感触を得た様子で、ともにその理由を考え始めたという。CMRは構造的に観察が難しい右室の評価に優れており、今回もCMRで心室中隔の圧排の客観的評価が可能となった。
今回の研究では、BPA後の両心機能と肺動脈内血流の改善が示された。左心機能の改善は右心機能に伴うことを予想していたが、ISAやRVSVIの改善と左室指標の改善との相関も明らかになった。血流に関しては、PEA後はATや最高速度の改善が報告されているが、BPA後では異なる結果となった。「PEAとBPAでは、対象となる治療病変部位(中枢性か末梢性か)、治療法(内膜除去か血栓圧排か)が異なるので、その影響で治療後の血流変化に違いが出るのかもしれない。今後、PEAとBPAの比較研究も必要と考えられる」と同氏。
同氏は今春出産後、6月から研究に復帰した。下川氏をはじめ医局や周囲のサポートへの感謝をあらためて実感するという。佐藤氏は「出産後、日本循環器学会にも参加し、学会の託児所を利用することで学会発表に専念できた。これも、いろいろな方々のご配慮と、特にこれまで活躍してきた女性の先生方の働きかけがあったためと思う。今後、私自身も研究や勉強に励みながら、同じような境遇の方の力になれればうれしい」と語っている。









