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ドクターズアイ 山田悟(糖尿病) ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)

インクレチン薬の心血管安全性に再び暗雲?

リラグルチドのFIGHT研究から
北里研究所病院糖尿病センターセンター長 山田悟

 2016年09月08日 07:00

研究の背景:インクレチン薬による心不全への懸念は薄らいでいた

 今年(2016年)、糖尿病の世界で最も喜ばしい結果の臨床研究の1つが先日ご紹介したLEADER試験である(N Engl J Med 2016;375:311-322関連記事)。

 LEADER試験では、GLP-1受容体作動薬リラグルチドの投与により、2型糖尿病患者における心血管疾患の再発予防効果が示され、さらには総死亡率も低下していた。この試験の結果、同じGLP-1受容体作動薬リキシセナチドを用いたELIXA試験(N Engl J Med 2015;373:2247-2257)や、同じインクレチン関連薬のDPP4阻害薬を用いたSAVOR-TIMI53(サキサグリプチン;N Engl J Med 2013;369:1317-1326)、EXAMINE(アログリプチン;N Engl J Med 2013;369:1327-1335)、TECOS(シタグリプチン;N Engl J Med 2015;373:232-242)で心血管イベントの抑制効果を示せなかったものの、インクレチン関連薬の(潜在的)心血管疾患保護効果を確認できたと思ったわけである。

 そして、SAVOR-TIMI53で示された心不全による入院の増加についても、GLP-1受容体作動薬では心不全の懸念はなく、最近の医療保険者の記録を解析した結果、サキサグリプチンを含めDPP4阻害薬で心不全による入院は増えていないとされており(Ann Intern Med 2016;164:705-714)、インクレチン関連薬による心不全は懸念する必要はないという考え方が一般的になっていたと思う。

 そうした中、リラグルチドを用いて、心不全の予後が改善するかどうかを検証したランダム化比較試験FIGHT(Functional Impact of GLP-1 for Heart Failure Treatment)の結果がJAMA2016;316:500-508)に報告された。残念なことに、リラグルチドの投与により心不全の予後は改善せず、かえって糖尿病患者に限定すると予後を悪化しかねないことを示す衝撃的な結果であった。正直、この結果をどのように解釈すればよいのか全く分からないのだが、とりあえず概略をお伝えしたい。

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