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造影剤腎症にデータで対抗する

慶應義塾大学循環器内科 香坂 俊

Doctor's Eye(循環器) | 2017.01.11

 巷でビッグデータという言葉が盛んに用いられるようになっている。循環器内科の分野でも多分に漏れず、こうしたビッグデータの解析結果を応用し、合併症や予期せぬ入院を防いでいこうという動きが盛んになされている。今回紹介する研究(J Am Coll Cardiol 2016; 67: 1715-1722)は、実は自分たちが行ったものであるが、カテーテル治療の最後の難所とされる 【造影剤腎症】 を日米2カ国のビッグデータを用いて予防するための方策を探った、という内容である。

研究の背景1:治療法が存在しない造影剤腎症

 冠動脈のカテーテル治療(percutaneous coronary intervention; PCI)は、国内で広く行われており、800以上の施設で、実に年間20万件以上のPCIが実施されている〔日本心血管インターベンション学会(CVIT)集計〕。これは先進国の中でも有数の規模で、比肩するのは米国くらいしかないといわれている(ただし米国は人口が2.5倍で、冠動脈疾患有病率が4倍くらい)。

 このPCIの非常にセンシティブな合併症として、時に手技終了後に腎機能障害を起こすということがある。そのメカニズムは造影剤が腎臓に集積するためとされており〔血管性の要因(強制的な血管収縮)、あるいは活性酸素による直接毒性によるとされている〕、ここ20年その造影剤腎症の治療法を探って、N-Acetylcysteineの投与や透析の早期導入など、さまざまな努力がなされてきたが、基本的に有効な治療法は存在しない。つまり、起こってしまった後にいくら騒いでも無駄であり、しかもいったん腎障害が起きてしまうと坂道を転げ落ちるように長期的な生命予後にも悪影響を及ぼしていくということも分かっている。

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