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ドクターズアイ 岩田健太郎(感染症) ドクターズアイ 岩田健太郎(感染症)

「この」患者に抗菌薬を出すべきか

神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎

 2017年03月07日 07:05
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イメージ画像 (c)Thinkstock/Getty Images ※画像はイメージです

研究の背景:目の前の患者にベストを尽くせるか?

 しばしば申し上げていることだが、エビデンス・ベースド・メディシン(EBM)とは、ランダム化比較試験(RCT)とか、巨大な臨床データをそのまま患者に用いることではない。 

 1990年代につくられたといわれるEBMのパイオニアの1人、David SackettはEBMをこう定義している。

"the conscientious, explicit and judicious use of current best evidence in making decisions about the care of the individual patient. It means integrating individual clinical expertise with the best available external clinical evidence from systematic research."
《誠実、明白、かつ思慮深く、最新でベストなエビデンスを個々の患者のケアに関する意思決定に用いること。つまり、個々の臨床能力と、包括的な検索で手に入れられる外的なベストの臨床エビデンスを統合させることだ(岩田訳)》

 大切なのは、「個々の患者(individual patient)」である。まずは、目の前の患者ありき。そこで最良の医療を提供するために、文献検索を用いて「この患者に使える」ベストなエビデンスを模索するのだ。だから、ときとして口にされる「EBMは患者の個別性を無視したクックブック・メディシンだ」みたいな物言いは、完全にEBMの本質を捉え損なった的外れな非難なのである。

 問題は、だ。既存のよくデザインされたRCTや、質の高いメタ分析で得られた知見、あるいはそういう「エビデンス」を援用したガイドラインは、果たして「目の前の患者」に使えるか?である。

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