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心筋梗塞を起こすのは遺伝か? 生活習慣か?

慶應義塾大学循環器内科 香坂 俊

 2017年03月14日 07:15
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研究の背景:一塩基多型(SNP)と冠動脈疾患

 長く循環器内科をやっていると(筆者はまだ40前半ですが)、時々原因がよく分からない心筋梗塞患者に遭遇することがある。非常に規則的かつ健康的な生活を維持しているにもかかわらず心筋梗塞を発症する方が(まれに)いる一方で、逆に喫煙や糖尿病など危険因子だらけなのに、なぜか冠動脈はピカピカという方も(たまに)いる。

 こうした状況で頭をかすめるのは「遺伝」の二文字である。実際、患者やその家族にも「心筋梗塞は家系のせいでしょうか?」ということはよく質問される。

 冠動脈疾患に寄与する遺伝子やその一塩基多型(SNP;single nucleotide polymorphism*1)は多数報告されている。中でも9番染色体p21座位(9p21)のSNPは冠動脈疾患の発症と強く相関していることが知られている1)。ただ、この高名な9p21ですら、オッズで1.1倍リスクを上げるにすぎず(つまり10%)、個人の患者レベルにまで遺伝的な寄与を落とし込むのは困難だろうとされてきた。

*1:SNPは「スニップ」と読む。ヒトゲノムDNAの約30億個の塩基の並びは、実は全ての人間で同じという訳ではなく、一塩基だけが違っていることが約1,000塩基に1個程度あると推定されている。ただ、こうしたSNPは遺伝子領域や蛋白質合成の制御領域以外のところにあり、原則として形質的な特徴の変化をもたらさない

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