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抗菌薬で板挟み?

 2017年05月30日 14:10

 先月取材した第91回日本感染症学会/第65回日本化学療法学会では、薬剤耐性(AMR)の問題が一つの大きなトピックとなっていました。とりわけ、昨年(2016年)策定されたわが国のAMR対策アクションプランに関するセッションでは、国立研究施設や大学、クリニックなど、多様なフィールドで活躍する感染症診療のエキスパートたちの発表や、厚生労働大臣・塩崎恭久氏の講演が行われるなど、両学会の意気込みが感じられました。

 それらのうち、われわれ一般市民にとって身近に感じられたのが、「かぜと抗菌薬」の話題。ご存じの通り、かぜ症候群の主な原因はウイルスですが、中浜医院(大阪市)院長・中浜力氏が報告したアンケート(「6割の医師が患者希望で抗菌薬投与」)の結果によると、約6割の医師が、「患者が希望した場合は抗菌薬を処方する」と回答したそうです。
 日常診療において抗菌薬を適正に使用し、AMRリスクを回避しようと心がけている医師は決して少なくないと思います。しかし目の前にいる患者に、「診療してもらった」という実感と「希望に応えてくれた」という満足感を与えることもまた重要なことでしょう。
 アンケートの結果からは、自身の責務と患者の意向との板挟みになって悩む医師の姿が浮かび上がってくるように感じました。

 ところで、中浜氏の発表後の質疑応答で出た、「こうしたアンケート自体が、抗菌薬の適正使用を啓発する側面もあるのではないか」という意見には思わず膝を打ちました。
 アンケートは、抗菌薬がどのように処方されているかを探り、問題を提起する「目的」を果たすための「手段」ではありますが、この「手段」自体に効果があるというのです。確かに抗菌薬の投与法を自然と再考することにもなりそうですね。
「手段の目的化」という言葉は否定的に捉えられがちですが、こういった「手段の目的化」なら歓迎したいものです。

陶山 慎晃

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