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ドクターズアイ 倉原優(呼吸器) ドクターズアイ 倉原優(呼吸器)

"最強の治療法"トリプル吸入療法は諸刃の剣

COPD治療のマイルストーンFULFIL試験

 2017年06月15日 07:00

研究の背景:重症例はどの選択肢でも満足なコントロール得られず

 これまで慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療といえば、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA)、またはその合剤(LAMA/LABA)であった。この礎をつくったのはLAMA、特にチオトロピウム(スピリーバ®)のUPLIFT試験の結果である(N Engl J Med 2008;359:1543-1554)。この試験でLAMAは4年にわたり呼吸機能を改善し、全死亡率を有意に低下させた。また、LABAはLAMAと同程度の症状改善効果・肺機能改善効果があるとされ(Am J Respir Crit Care Med 2010;182:155-62)、国内外のガイドライン上はLAMAと肩を並べている。

 一方で、COPDに対する吸入ステロイド薬(ICS)とLABAの合剤は、LABA単剤と比べてCOPD増悪の頻度を抑制するとされている(Cochrane Database Syst Rev 2012;(9):CD006829)。そのため、症状が強いCOPD患者にはLAMAあるいはLABA、LAMA/LABA、増悪を繰り返す患者にはICS/LABAを用いるプラクティスが一般的であった。

 しかし、重症例はそのいずれの選択肢でも満足なコントロールが得られなかった。そのため、"最強"のCOPD吸入薬としてトリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)が最も有効ではないのか―そういう意見が出てきた。このような中、FULFIL試験が発表された(Am J Respir Crit Care Med 2017年4月4日オンライン版)。呼吸器内科医にとって2017年で1、2を争うくらい重要な臨床試験と言えるだろう。私は、これはCOPD治療のマイルストーンとなる研究と考えている。

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