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クイズ エニグマ症例を診断せよ! クイズ エニグマ症例を診断せよ!

〈エニグマCase File 4〉しびれが徐々に強くなり歩けなくなった

出題:北川尚之(厚生中央病院総合内科)

 2017年07月12日 06:30

 日常診療で診断が難しい症例に出会ったら、あなたはどうしますか? 私たちは、診断困難な症例を「エニグマ症例」と名付けて全国から集め、それを発表する「未病・エニグマ症例検討会」を開いています。

 このコーナーでは、総合診療医の登竜門ともいえる同検討会で発表された症例の中から優れたものを集め、クイズ形式で紹介していきます。「エニグマ」とは「謎」を意味する言葉で、第二次世界大戦で活躍したドイツの暗号機の名前としても有名。エニグマ症例をいかにスマートに診断・治療するかが、臨床医の腕の見せ所です。神は細部に宿る――注意深く観察することで、患者さんはきっとサインを示してくれるでしょう。

未病・エニグマ症例検討会 代表世話役 福生吉裕

【最終ページまでたどり着いたら200capプレゼント!】

【症例】68歳女性
【主訴】しびれが徐々に強くなり歩けない
【現病歴】X-5年(63歳)8月ごろから両足のむくみが出現し10月ごろから両下肢の膝より遠位に痺れ感が出現した。他院整形外科、神経内科を受診したが異常ないと言われた。しかし徐々に歩行が困難になり、X-4年(64歳)2月から杖歩行になったため、当科を受診した。
【既往歴】高血圧症(発症年齢不明)
【家族歴】特記事項なし
【生活歴】喫煙歴なし、機会飲酒
【初診時身体所見】身長149.4cm、体重40kg
血圧149/71mmHg、脈拍86回/分、体温 36.5℃、SpO2 98%
心雑音なし、呼吸音正常
両足に軽度の圧痕性浮腫を認める
その他、一般理学的所見に異常なし
神経学的所見:意識清明、構音障害なし、脳神経系正常
眼底検査では異常を認めず
両下肢近位筋でMMT 4程度の筋力低下
両膝より遠位で触覚、温痛覚低下しており足首で振動覚低下が著明
深部腱反射は四肢で消失、Babinski反射陰性、その他病的反射は認めず
指鼻試験、膝踵試験は正常
Romberg徴候陽性
筋萎縮、膀胱直腸障害なし
【初診時血液検査】
WBC 6,000、RBC 511x104Hb 15.8g/dLHt 45.4%、Plt 21.1x104、TP 7.1g/dL、Alb 4.1g/dL、GOT 15IU/L、GPT 15IU/L、γ-GTP 25IU/L、CPK 56IU/L、AMY 42IU/L、TC 173mg/dL、BUN 14.5mg/dL、Cr 0.54mg/dL、Ca 9.7mg/dL、IP 4.4mg/dL、Glu 189mg/dL(食後血糖)、Na 139mEg/L、K 4.2mEg/LCRP 0.6mg/dL、fT3 3.37pg/mL、 fT4 1.3ng/dL、TSH 3.82μIU/mL

【経過】
 神経学的所見から末梢神経障害を疑い神経伝導検査を行ったところ、正中神経、腓腹神経は正常だったが、脛骨神経のMCV、CMAP振幅の低下を認めた。また髄液検査を行ったところ、以下のように細胞蛋白解離を認めた。

 髄液検査:細胞数2(単核球2)、蛋白103.34mg/dL、糖 96.29mg/dL

 また抗核抗体、抗DNA抗体、ANCA抗体はいずれも陰性であり、抗ガングリオシド抗体は検出されなかった。

 神経伝導検査、髄液検査の結果から慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)と診断し入院の上、免疫グロブリン大量療法(IvIg)、免疫吸着療法を行ったが、効果は見られなかった。IvIgをもう1クール行ったところ、歩行はやや改善した。

 しかし、X-3年(65歳)秋頃から易疲労感、筋力低下が悪化したため、再度入院しステロイドパルス療法を行い、さらにプレドニゾロン60mg/日から開始したところ、歩行障害、易疲労感に対して一定の効果が得られた。しかし本人の希望によりステロイドは漸減後に中止した。

 X-1(67歳)秋ごろから再び易疲労感が強くなり外来で3週間のステロイド治療(プレドニゾロン30mg/日から開始し漸減後に中止)を行ったところ、やはり一定の効果が得られた。

【ここまでの経過のまとめ】
・63歳時に多発性末梢神経障害と両下肢の浮腫を発症
・髄液では蛋白細胞解離の所見
・免疫吸着術は効果なく、2回目のIvIgはやや効果あり
・歩行障害・全身倦怠感に対してステロイドが有効

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