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【2018年 医学はこうなる】香坂 俊

慶應義塾大学循環器内科

 2018年01月01日 06:00
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私が選んだ2017年 医学3大ニュース

1. PCIの「厳密な」RCTが初めて行われる

  2017年11月の米国心血管カテーテル学会(TCT)の最終日、空席の目立つ会場でORBITA試験の結果は公表された。ORBITA試験は英国のImperial College Londonを中心として5施設で行われたRCT(ランダム化比較試験)だが、初めて安定狭心症(1枝)のPCIに対して「偽手技sham procedure」がコントロール群に用いられた。つまり、全例「耳をふさいだ状態」で診断カテまでが行われ、コントロール群に割り付けられたケースに関しては「PCIが行われたフリ(15分程度)」がなされた。患者と主治医双方が手技についてはブラインド(盲検化)されており、こうした極限状況下(?)6週間後に各患者の評価が行われた。

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図:ORBITA試験に登録された1枝病変患者の造影所見(例:*は狭窄部)

  この結果は驚くべきもので、両群で症状(質問票)や運動耐用能(負荷試験)に差異は全く認められなかった。すなわち「PCIのフリ」でも同等に症状や運動耐用能が改善したのである。著者らは「安定狭心症でPCI後に認められる症状改善の多くは、プラセボ効果による可能性がある」と指摘した(信じられないことだが、本当に論文にそう書いてある)。

 ORBITA試験が発表された会場は静かなものであったが、その後Twitterなどソーシャルネットワーク上では大きな話題となった(下記参照):

1712052_pho2.png

 ここではその是非を論じることはしないが、この試験のインパクトは随一であり、今年のトップニュースとさせていただいた。詳細はLancet2017年11月1日オンライン版)に掲載されている。

2. Cardio-Oncologyの幕開け

  分子標的薬の進歩に伴い担がん患者の予後が良くなっている(予想通り)。そして、循環器系合併症が急速に増加している(予想と反して)。血圧のコントロールが悪くなったというくらいであればなんとかその場で対応できるのだが、冠動脈疾患の発症、さらに心機能の低下にまで至るとさすがに何か治療的、そして予防的な介入を考える必要が出てくる。

  今現場では新しい分子標的薬が出るたびに新たな(循環器系の)対応を考えねばならないという状況になっており、そのためCardio-Oncology(循環器腫瘍学)という分野が立ち上がり、脚光を浴びるようになっている。学会や研究会でも多くの聴衆を集め、米国の主要な大学で"Department of Cardio-Oncology"が誕生している(担がん患者が多い日本でもこうなる可能性は高い)。筆者としては分子標的薬が出るスピードが「速過ぎるんだよ!」というのが率直な感想なのだが、思わぬところで最も縁がないと思われていた分野の勉強を強いられている。

3. PADには抗血小板と抗凝固併用か?(COMPASS試験)

  COMPASS試験が2017年の欧州の夏の学会で発表された。メインメッセージとしては、主に末梢動脈疾患(PAD)症例に対して低用量のリバーロキサバン(5mg×2:いわゆるNOAC/DOAC)をアスピリン(従来治療)に追加したところ、死亡リスクを18%低下させたというものである。さらにサブ解析では下肢の虚血や切断の頻度も減少したことが示されている。なお、重大な出血イベントの危険率も高まった(オッズ比で1.7倍)が、致死的な出血や脳出血の有意な増加は認めらていない。詳細はNEJM2017; 377: 1319-1330)に掲載されている。

  同誌のEditorialでは、ついに動脈系血栓予防薬(アスピリン)と静脈血栓予防薬(抗凝固薬)の理想的なバランスが見つかったのではないかとEugene Braunwald先生(注:循環器のGodfather、ハリソンなどの代表的な教科書を執筆・編集者)がコメントを出し、血栓循環器病学(Thrombocardiology)の先鞭を付けることを期待すると結んでいる。なお、こちらCardio-Oncologyと異なりThromboがCardioの先に来ているが、Godfatherの言葉にケチを付けるような輩はこのファミリーには存在しない。

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